お問い合わせ

CAE Technical Library エンジニアレポート - CAE技術情報ライブラリ

ユーザー事例:衝突シミュレーションの予測精度向上を支える、高精度かつ効率的な材料同定を実現
ご利用企業様の声:本田技研工業株式会社様

カテゴリー
: 技術情報 / その他
関連製品
IMPETUS® / VALMAT®

導入のメリット

  •  材料モデルのパラメータ同定に費やす日数が、従来の6分の1に短縮できた
  •  社内で材料同定が可能になり、大幅なコストダウンおよびノウハウの蓄積による精度向上が実現した。
  •  豊富な知識による迅速なサポートで、大きな安心につながった。

お話を伺った人

左から、本田技研工業 中川 善和様、本田技術研究所 伊藤 修様、本田技研工業 金田 和弘様

  • 左から
  • 本田技研工業株式会社 中川 善和 様
    四輪事業本部 ものづくりセンター 完成車開発統括部 車両企画管理部 開発品質課
  • 株式会社本田技術研究所 伊藤 修 様
    先進技術研究所 安全安心ドメイン 安全技術研究グループ
  • 本田技研工業株式会社 金田 和弘 様
    四輪事業本部 ものづくりセンター 完成車開発統括部 材料開発部 完成車材料課

本田技研工業 外観

IMPETUS®/VALIMAT®の導入が、作成期間の短縮、コスト削減につながった

― 現在、どのようなお仕事を担当されていますか?

本田技研工業 中川 善和様

中川 私は自動車衝突シミュレーションの予測精度向上に取り組んでいます。特に、近年重要性が高まりつつある樹脂素材に着目し、4年前にわれわれで研究テーマを立ち上げて取り組んできました。
JSOLさんとは、十数年前に「LS-DYNA」(衝撃・構造解析のソフトウェア)を導入して以来のお付き合いで、そのサポートなどを通じてお世話になっています。

― 材料同定において、従来の方法ではどのような課題がありましたか?

中川 ひとつは材料モデルが完成するまでに非常に時間がかかることです。材料同定では、材料の特性を得る材料試験と、その特性をシミュレーション上で再現するための「材料パラメータのフィッティング」という作業を行います。

材料モデルが完成するまでに、基本的な「MAT_024」を使用した材料モデルでも最短約3カ月、「SAMP-1」を使用し降伏関数の静水圧依存や破断の三軸度依存を考慮するモデルでは約4カ月もの時間がかかってしまい、作成期間の短縮が大きな課題となっていました。
次にコストの問題です。たった一つの材料モデルを作るのにMAT_024でも100万円弱、SAMP-1では数百万円かかってきます。さらに樹脂はメーカーによって特性が異なるため、大量の材料モデルを作る必要があります。従来の方法では時間もコストも対応しきれないと考え、高精度かつ効率的に材料モデルのパラメータを同定できる「IMPETUS®」「VALIMAT®」を導入することにしました。

材料モデル作成期間と外部委託費材料モデル作成期間と外部委託費

― IMPETUS®/VALIMAT®を導入し、どのような効果がありましたか?

中川 作成期間を劇的に短くすることができました。最短でも約3カ月かかっていたMAT_024が2週間、約4カ月かかっていたSAMP-1も3週間でできるようになりました。特に、VALIMAT®の「オートフィッティング機能」が大きいですね。また、これまで手動で行っていた従来の高速引張試験では、試験結果にバラつきが出てしまうので、どの試験結果を採用すべきか決定するのに時間がかかっていました。一方、IMPETUS®は安定した結果を得られるため、時間短縮に大きく貢献しています。

材料モデル作成機関と外部委託費材料モデル作成機関と外部委託費

― 費用面についてはいかがですか?

中川 フィッティングが難しく、これまで外部に委託していたSAMP-1を、社内でできるようになりましたし、また工数もかなり削減できたので、全体的に大幅なコストダウンにつながっています。

― その他、導入メリットだと実感していることはありますか?

中川 VALIMAT®は、試験結果と同定プロセスがデータベースに必ず残るので、材料モデルの素性を遡れることも大きなメリットだと感じています。特にSAMP-1に関しては、これまで外注していたものを社内でできるようになったことから、ノウハウが社内に蓄積し、精度向上につながっていると思います。また、手順書さえあれば専門的な知識がなくてもよいので、誰でも作業ができる体制を構築することができたこともメリットですね。

本田技術研究所 伊藤 修様

伊藤 私は歩行者保護の研究開発を主に行っており、歩行者保護の観点から中川のプロジェクトに参加しています。衝突安全において、樹脂材を使用した部品が大きく影響する性能の一つが、歩行者保護です。その樹脂に対応する材料特性を揃えるときにも、従来手法よりIMPETUS®やVALIMAT®で同定した特性の方が、予測精度が高いという知見が得られました。それは、SAMP-1の降伏曲面や破断のフィッティングを含め、さまざまな材料特性の同定について、そのプロセス全てを外注ではなく社内で実施できるようになったことで、作業内容を上から下までチェックできるようになったからだと考えます。

一方で、万が一テスト結果がCAE結果と異なった場合でも、材料特性の確認を短期間で行えるようになりました。テストでNGが発生するときはさまざまな原因がありますが、対策期間は短いことが多いため、すばやい原因究明が求められます。これまで開発現場ではCAEの材料特性が疑わしいと思っても簡単に検証することができませんでしたが、IMPETUS®/VALIMAT®ではその検証も容易です。それらが、IMPETUS®/VALIMAT®を導入した大きな効果だと思います。

VALIMATフィッティングの画面VALIMAT®フィッティングの画面

― 樹脂材料特有の材料挙動の面からみたIMPETUS®/VALIMAT®はいかがですか?

本田技術研究所 金田 和弘様

金田 一般的に、鋼材は引張と圧縮の特性は等価であるため、材料モデルの作成には引張試験単体の特性が用いられますが、樹脂材料は引張や圧縮、せん断などの応力状態によって降伏条件が異なる静水圧依存性を示すため、単一特性で材料モデルを作成してしまうと、実試験とシミュレーションの間で大きな差異が生じてしまう可能性があります。
また、歩行者保護や軽衝突で外装樹脂部品に加わる入力は、引張・圧縮変形が混在した曲げモードでの入力になることがほとんどであるため、直接的に、曲げモードでの材料モデルを作成可能なIMPETUS®を用いることで、実部品への入力モードを忠実に再現することが可能であり、予測精度の向上につながっていると考えています。

IMPETUSによる樹脂材料向けの応力三軸度依存の破断クライテリアIMPETUS®による樹脂材料向けの
応力三軸度依存の破断クライテリア

― IMPETUS®/VALIMAT®に対する周囲の評価はいかがですか?

中川 他部署から、3Dプリンタで作った新しい構造の衝突性能予測をシミュレーション上で行いたいという相談を受けました。実車の衝突性能試験を実施する前に、破断までの再現と予測をしたいという依頼です。与えられた期間がとても短かったのですが、IMPETUS®を導入していたおかげで、3週間で材料モデルを作って提供することができました。もし従来通りの方法だったら、絶対に間に合わなかったと思います。実車テストの後、予測結果と比較したところ、よく再現できていたとのことで、担当からとてもありがたがられました。

― 当社のサポート体制はいかがでしょうか?

中川 JSOLさんの強力なサポートは心強いです。以前はオーストリアにある開発元の企業と直接やりとりをしていたので、何か問題が発生してメールで問い合わせても、8時間の時差が影響して返事をもらえるまで時間がかかり、問題の解決がスムーズにいきませんでした。一方、JSOLさんには迅速にサポートしていただけるので大変助かっています。またJSOLさんは「LS-DYNA」の日本最大のサポートベンダーでもあるので、衝突安全解析ソリューションに関してなど、どんな質問にも答えていただけるというところも、大きな安心につながっています。

― 今後、期待することは?

中川 動的なテストを行う装置は大型のものが多いのですが、IMPETUS®は卓上サイズで気軽にテストできるのがメリットだと思います。今後、たくさんテストを行って、繊維強化樹脂の繊維配向の影響を衝突シミュレーション上で再現したいと考えています。また、二輪の事業所やアメリカの事業所など、他部署からも問い合わせが多くきており、ライセンスを増やせるなら、VALIMAT®上で一元管理している材料データベースを他部署間でも共有して広げていきたいですね。

VALIMATの画面

インタビュー協力

HONDA

本田技研工業株式会社

二輪車、四輪車、パワープロダクツを中心に国内外で幅広く事業を展開する大手輸送機器メーカー

本社所在地:
東京都港区南青山2-1-1
設   立:
1948年(昭和23年)9月
資 本 金:
860億円
従 業 員 数:
連結 218,674人 / 単独 25,379人
*CONTACT

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ:03-5859-6020 平日9:00〜17:30

※ お問い合わせページへアクセスできない場合

以下のアドレス宛にメールでお問い合わせください

cae-info@sci.jsol.co.jp

ページトップへ