[解析事例] 静電気放電への耐性(EM)
- ソルバー
- EM
- 解析対象
- EMC試験装置・設備
静電気への耐性を予測
電子デバイスの静電気への耐性を調べる ESD 試験は、基本的な EMC 試験の一つです。本事例で取り上げるのは、EMC Studio のモーメント法ソルバー EM による ESD 試験の解析です。
概要
ESD 試験では、ESD ガンを用いて DUT に静電気を放電します。ガンを当てる場所により DUT に誘起される電圧は変わり、いずれの場合でも、DUT は故障することなく耐える必要があります。したがって、様々な場所に放電する解析を行い、製品の静電気への耐性を予測することは有効です。
ESD ガンと電圧波形のモデリング
ESD 試験を模擬する解析の一つの難所は、ESD ガンのモデリングです。仮にガンの 3 次元形状を精密にモデル化してしまうと、計算時間の増大を招きます。
そこで、本事例ではガンを回路素子と金属ワイヤーで表現した簡易モデルで解析しました。こうすることで、実用的な制度を保ちつつ、計算時間を大幅に短縮できます。
また、静電気の電圧波形をフーリエ変換し、周波数スペクトラムを導出しました。これを用いることで、周波数領域上の解析であるモーメント法を適用できます。
ESD ガンの簡易モデル
静電気の電圧波形(これをフーリエ変換)
放電箇所による誘起電圧の変化
下に示すグラフは、ケーブル終端の誘起電圧をプロットしたものです。ESD ガンを二か所に当てる実験をし、解析結果と比較しました。
両者の実測値に明瞭な違いがあり、いずれの場合の波形も、解析で定性的に再現できました。特に、DUT にかかる電圧の最大値を良好に再現できました。したがって、このような解析を活用することで、DUT の ESD 試験への耐性を見積もることができます。
事例一覧
- 解析事例
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- ※EMC Studioの開発元は、EM Consulting and Software, EMCoS, Ltd.(本社:ジョージア)です。
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