
[解析事例] 機械特性評価
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目的と手法
材料の機械特性は最も基本的な材料特性の1つであり、材料の変形や破壊を考える上での第一ステップとなる特性であると考えられます。たとえばヤング率は伸長変形における歪みεと応力σから式(1)で計算されます。また、等方性材料の弾性率については相互の関係式が知られており、ヤング率E、体積弾性率B、ポアソン比νについては式(2)のような関係になります。
\[ E = \frac{ σ }{ ε } \]
…(1)
\[ \nu = \frac{ 3B-E }{ 6B } \]
…(2)
ここではSi結晶のヤング率、体積弾性率、ポアソン比についてSIESTAを用いて計算しました。計算にはPBE汎関数とDZP基底関数を用いています。
図1 Si結晶のモデル
解析結果
Si結晶でSIESTAモデラのEOS計算機能を用いて体積弾性率を計算しました。体積とエネルギーの関係から固体の状態方程式モデルを用いてフィッティングを行い、B=89 GPaという値が得られました。
続いてc軸方向に変形した結晶セルを作成し、a,b軸方向のみ最適化することにより伸長変形時の応力を得ました。歪み量と計算された応力値からヤング率がE=130 GPaとなりました。これら2つの値からポアソン比 ν=0.256が得られます。これらは先行研究*で報告されている値(E=122-131, ν=0.26-0.28)と比較して妥当なものと言えます。
図2 Si結晶の体積とエネルギーの関係
- *引用文献:
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- B. Lee and R.E. Rudd, Phys. Rev. B, 75, 195328
事例一覧
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