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[解析事例]
GHz周波数領域における水の誘電分散(2)

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事例データDL

外部電場を利用した複素誘電率の評価

目的と手法

全原子分子動力学法により、外部電場を利用することで水の複素誘電率を評価しました。

誘電体に周期的な電場 \( E(t) = E_0\cos (\omega t) \)を印加することで、誘電体内では位相の遅れ\( \varphi\)を伴いながらその電場に追随する分極(式(1))が生じます。

\[ P(t) = P_0\cos (\omega t + \varphi) \]

…(1)

このときの電場と分極の関係から、複素誘電率(実部: ε′, 虚部: ε′′)は式(2)の通りとなります。

\[ ε'(\omega) = 1 + \frac{4\pi P_0\cos\varphi(\omega)}{E_0} \]

\[ ε''(\omega) = \frac{4\pi P_0\sin\varphi(\omega)}{E_0} \]

…(2)

VSOPを用いて水のモデルに周期的な電場を印加することで、各時刻での分極の応答を求めました。図1のモデルを用いてZ軸方向(長手方向)に電場を印加しました。誘電率は電場の周波数ωに依存するため、周波数をいくつか設定して各周波数において複素誘電率を求めました。水の力場にはSPC/Fwを用い、300[K]の温度のNVTアンサンブルで計算しました。

図1  水のモデル
図1 水のモデル

解析結果

周波数6.5[GHz]の電場の入力(E)に対する分極の応答(P calc)を図2に示します。計算で得られた分極の応答を式(1)でフィッティングすることで(P fitted)、位相の遅れを評価しました。分極の応答が電場に対して遅れている様子が見られます。

図2  周期電場に対する分極の応答
図2 周期電場に対する分極の応答

他の周波数で同様に位相の遅れを評価することで、図3のように各周波数での水の複素誘電率を評価できました。誘電緩和関数から評価した誘電分散(1)と比較して、結果がよく一致することが確認できました。外部電場を利用することで、興味のある周波数における誘電率を直接評価することが可能です。

図3 水の誘電分散
図3 水の誘電分散

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