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[解析事例] タイヤの耐摩耗性の向上

粗視化MD
力学・粘性・粘弾性
マテリアルサイエンス
事例提供
住友ゴム工業株式会社

スーパーコンピュータ上での粗視化MDによるゴム材料の破壊プロセス

タイヤの耐摩耗性向上のため、粗視化分子動力学(CGMD)を用いたメカニズム解析を実施した[1][2]。ゴム材料中のシリカ粒子凝集体の分散構造がターゲットとなるが、TEM実験の結果を基にしてReverse Monte Carlo法を用いて構築された。

図1(左)は変形後の領域全体の構造である。シリカ凝集体の分散構造を扱うためにシステムサイズは350nmとなっており、分子動力学で扱うには大きい。また、ゴム状態の高分子の変形・緩和を扱うにはマイクロ秒以上の計算が必要となる。そのため粗視化モデルを用いてはいるものの、それでも1.4億粒子の大規模計算となるため、スーパーコンピュータ京の上でVSOPを用いた並列計算が実施された[2]。

図1(左)を見ると、界面部分で剥離(破壊)が生じている。また、ゴムのバルク(青色の領域)においてところどころボイドも発生している。領域を拡大して見ていくと、シリカとゴムの間の剥離起点を可視化することができた(図1(右)) 。

図1. (左)全体構造。シリカ凝集体の周辺に剥離、ゴム(バルク)中にボイドが生じている。(中)シリカ凝集体の拡大画像。ゴム分子が見えてくる。(右)シリカ粒子とゴムの界面領域の拡大画像 。[1][2]図1. (左)全体構造。シリカ凝集体の周辺に剥離、ゴム(バルク)中にボイドが生じている。(中)シリカ凝集体の拡大画像。ゴム分子が見えてくる。(右)シリカ粒子とゴムの界面領域の拡大画像 。[1][2]

最終的に、図2のような耐摩耗性コンセプトタイヤが開発され、本技術はTire technology Awards 2017を受賞した。

図2. 実際に開発されたコンセプトタイヤ[1]。本技術はTire technology Awards 2017を受賞。図2. 実際に開発されたコンセプトタイヤ[1]。本技術はTire technology Awards 2017を受賞。

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