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材料解析 第一原理電子状態計算ソフトウェア Siesta

[解析事例] 格子比熱の解析

量子化学・DFT
マテリアルサイエンス

目的と手法

材料の定積モル比熱は、体積一定の条件の下で、内部エネルギーの温度微分から求めることができます。本事例では、金属を含めた単原子固体の比熱について、比熱を特徴づける格子比熱をSIESTAモデラのフォノン解析機能を利用して求めた事例をご紹介します。
材料の定積モル比熱Cvは、以下の式であらわすことができます。

ここでhはPlanck定数、νはフォノンの周波数、ƒB (ν)はボーズ・アインシュタイン分布関数、Dlat (ν)は周波数νのフォノン状態密度です。この解析には材料ごとのフォノン状態密度の情報が必要となります。
SIESTAモデラのフォノン解析機能は、フォノンバンドと合わせて、状態密度を出力することができます。この結果を利用することで、定積モル比熱を求めることができます。

解析結果

SIESTAモデラを用いて、Na/Cu/Si/ダイヤモンドのフォノン状態密度を算出しました(図1)。
状態密度をエネルギーで積算すると、NaとCuで3(音響モードの縦波1と横波2)、Siとダイヤモンドで6(音響モードの縦波1と横波2、光学モードの縦波1と横波2)となります。これは1モルあたりの状態数を示しています。

図1 Na/Cu/Si/ダイヤモンドの各フォノン状態密度(NAはローシュミット数)
図1 Na/Cu/Si/ダイヤモンドの各フォノン状態密度(NAはローシュミット数)

この状態密度を反映した各元素の1モルあたりの定積モル比熱を図2に示します。比較のため、Debyeモデルによる結果を破線で示します。表1にDebyeモデルに使用したDebye温度を示します。Debyeモデルでは、材料の状態密度は周波数の二乗特性を持つことが仮定されているため、材料の違いは、材料ごとのDebye温度のみが異なります。このためDebye温度で規格化された比熱の振る舞いは、Debyeモデルではすべて同一となります。
また、定圧モル比熱の実験値も参考のため図2にプロットしています。定積モル比熱と定圧モル比熱は高温では差が大きくなるため、Debye温度以下の定圧モル比熱のデータのみを使って計算結果と比較しています。
第一原理計算により物質ごとの特徴を反映した比熱特性を得ることができます。

元素名 Debye温度(K)
Na 158
Cu 343
Si 79.6
C 2230

表1 各元素のDebye温度

図2 Na/Cu/Si/ダイヤモンドの定積モル比熱の比較 図2 Na/Cu/Si/ダイヤモンドの定積モル比熱の比較

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