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材料解析 第一原理電子状態計算ソフトウェア Siesta

[解析事例] 金属錯体の吸収スペクトル

量子化学・DFT
光学・電気・磁気
マテリアルサイエンス

目的と手法

吸収スペクトルは分子の光学特性を知るための有用な測定手法であり広く用いられています。
SIESTAのOpticalCalculation計算機能では分子や固体の吸収スペクトルを計算することができます。ここでは錯体の吸収スペクトルに本計算機能を適用した例を紹介します。

OpticalCalculation計算機能では幅広いエネルギー領域のスペクトルが比較的低コストで計算できるため、スペクトルの概形を確認しておく際に有用です。以下のSIESTAの計算ではPBE汎関数を用いましたが、PBEのようなGGA汎関数ではHOMO-LUMOギャップを過小評価するため、吸収ピークを実験と直接比較した際には注意が必要です。実験と比較する場合には、Scissorオペレータによりギャップを調整することができます。

以下では有機EL材料として知られるIr錯体と、配位子構造の異なる2種のPt錯体の吸収スペクトルについての計算例を示します。

計算例1

Ir錯体の吸収スペクトルの計算例を示します。Ir(ppy)3錯体は燐光発光の有機EL材料として知られています。
SIESTAで計算された吸収スペクトルは図1のようになりました。吉田らの研究報告ではこの錯体の長波長側では373nmに吸収ピークがあることが報告されています[1]。また短波長側にある複数の吸収ピークも、実験で観測された吸収スペクトルで確認することができます。

図1 Ir(ppy)3錯体の吸収スペクトル
図1 Ir(ppy)3錯体の吸収スペクトル

計算例2

Pt錯体の吸収スペクトルを計算しました。配位子の構造が異なる2種類の錯体Pt1、Pt2についての計算結果を示します。2つの吸収スペクトルを比較すると、450-500nmにおける吸収ではPt1が大きな吸収強度を持ち、400nm付近ではPt2が大きな吸収強度を持つことが確認でき、これらの特徴は実験で観測されている吸収スペクトル[2]の特徴と一致しています。

図2 2種類のPt錯体の吸収スペクトルの比較図2 2種類のPt錯体の吸収スペクトルの比較

参考文献
  • [1]吉田他、分子構造総合討論会2003, 4Pa071
  • [2]X.-D. Luong and X.-T. Nguyen, Crystals, 10, 476 (2020). https://doi.org/10.3390/cryst10060476

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