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材料解析 第一原理電子状態計算ソフトウェア Siesta

[解析事例] 分子レベルの接着

自動車や航空機に使われる工業材料は、軽量化のために金属部のプラスチックへの置き換えが進んでいます。ただし部分的には金属部品が使用されているため、金属とプラスチックという異種材料間の接合技術が重要になっています。
無機物表面と分子の接着では、分子間力による吸着、電荷移動、化学結合の生成など複数の現象が含まれます。このような場合には第一原理計算を用いた解析が1つの候補となります。接着現象に関して、DFTを用いて分子レベルから解析されている例があります[1]。ここではSIESTAを用いて同様の計算を行った例を紹介します。

図1に計算に用いたモデルを示します。本事例では金の(111)表面とPMMAを用いました。PMMAは3量体のモデルとなっています。
金表面にPMMAが付着した状態は古典MDによって作成しました。これをNEB計算の初期構造とし、PMMAを表面から離した構造を終構造としました。KBM/DZPレベルでNEB計算を行いました。本計算では遷移状態はないものと考えられるので、C-NEB (Climb image NEB) のオプションは使用しませんでした。

図2に計算結果を示します。吸着前後のエネルギー変化は2.2eVとなりました。このエネルギー変化には分子間力、PMMA分子の構造変化のエネルギーを含みます。図中に示した分子構造からは、吸着時における側鎖構造の変化を確認することができます。

ポリマーの吸着構造は種々の構造が考えられますので、実際的には複数の初期構造を用いて検討する必要性があると考えられますが、SIESTAのNEB計算を用いれば無機物の違い、表面構造の違い、ポリマーによる違いなどを比較検討することができます。

図1 金(111)-PMMAの吸着状態図1 金(111)-PMMAの吸着状態

図2 金表面へのPMMAの吸着過程のNEB計算図2 金表面へのPMMAの吸着過程のNEB計算

参考文献
  • [1]T. Semoto, Y. Tsuji and K. Yoshizawa, Bull. Chem. Soc. Jpn. Vol. 85, 672678 (2012)

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