SIESTAの特長
第一原理電子状態計算ソフトウェア
電子状態計算ソフトウェアSIESTAは、スペインの研究者が開発した大規模系の電子状態を高速に計算するためのソフトウェアであり、世界各国で使われています。
SIESTAは局在基底を用いて、周期系の電子状態を密度汎関数理論(Density Functional Theory, DFT)に基づいて解きます。計算には擬ポテンシャルを使用し、同種の平面波基底を用いたソフトウェアと同等の計算精度を保証します。界面など多数の原子を扱う状況で効率よく計算できる特徴があり、数10ナノスケール規模の材料物性を得るのに最適なソフトウェアです。
第一原理計算に関する説明はこちら材料物性の予測
SIESTAは大規模な系に対して密度汎関数理論(DFT)の方程式を効率的に解くことができ、特に界面で有効なソルバ―です。DFTに基づき、材料の電子に起因する物性値を算出できます。
- 電子密度、バンド構造、状態密度(DOS)
- フォノン解析、分極率、光吸収スペクトル、弾性率、表面エネルギー、電子輸送(電気伝導)
密度汎関数法(DFT)
DFTは電子の密度とエネルギーの関係式を解き、材料の性質を明らかにする手法です。DFTは電子物性を調べる手法として、現在ではスタンダードな方法になっています。
SIESTAの優れた技術
SIESTAは以下に挙げる特徴的な技術が実装されています。
- ノルム保存擬ポテンシャル
- 数値局在基底関数
- 第一原理分子動力学
- 非平衡Green関数を用いた伝導計算
汎関数の種類
SIESTAでは以下の汎関数を用いて計算を行います。
- 局所密度近似(Local Density Approximation, LDA)汎関数
- 一般化勾配近似(Generalized Gradient Approximation, GGA)汎関数
- ファンデルワールス(van der Waals, VDW)汎関数
材料物性シミュレーションソフトウェア「J-OCTA」との連携
SIESTAとJ-OCTA(Ver4.0以降)の連携により、J-OCTAからSIESTAを実行できます。
第一弾となる「界面エネルギー推算ツール」では、異種材料界面での相互作用ポテンシャルをSIESTAで計算し、その結果をJ-OCTAにインポートして界面の分子動力学計算に適用可能な高精度な力場パラメーターを作成できます。
第二弾となる「SIESTAモデラ」では安定構造や弾性率の計算、反応パスや基準振動などの解析が可能です。
弾性率の計算では種々の固体の状態方程式にもとづき体積弾性率を算出できます。
反応パスの解析では、Nudged Elastic Band(NEB)法を用いて反応の活性化エネルギーを計算できます。これはJ-OCTAで反応モデリングを行う際の入力情報として使うことができます。
事例:活性化エネルギーを用いたモンテカルロ判定によるエポキシ樹脂の架橋反応
モデリングツール(界面エネルギー推算ツールとSIESTAモデラ)の詳細はこちら
開発元
SIESTAはスペイン等の複数の大学に所属する研究者によって開発されています。
SIESTAはGPLライセンスで提供されています。
- ※SIESTA はオープンソースソフトウェア(無料)です。
JSOLの強力サポート
サポート契約をお申し込みのお客さまには、専属のスタッフによる電子メール等のサポートサービスをご提供いたします。また導入初期には、解析業務の立ち上げにご協力いたします。
- ※記載されている製品およびサービスの名称は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。