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材料解析 第一原理電子状態計算ソフトウェア Siesta

モデリングツール

SIESTAモデラ

現在、SIESTA[1]はフリーソフト(エンジン)として利用が可能であり、世界の多くの国や地域で利用されています。しかしフリーソフトとはいえ、入力データの準備から結果の処理までをすべて行う必要があるため、第一原理計算(密度汎関数法:DFT)の専門家以外の方々にとって気軽に使えるソフトウェアとは言えない面があります。

そこでJ-OCTAでは、専門外の皆様にも気軽にSIESTAコードが利用できるよう、専用のGUIであるSIESTAモデラを用意しました。SIESTAモデラでは、バンド計算、弾性率、分子構造の最適化など物理現象に応じたインターフェイスが提供され、入出力に必要な処理をすべて行ってくれるため、専門家以外の方でも容易にSIESTAを用いた第一原理計算を実施し、各種物理量や物性の評価を行うことができます。

以下の図はSIESTAモデラの画面ですが、非常にシンプルなものでありながらも、この中で種々の計算が実行できます。例えばプロジェクトタイプから1点計算(原子配置を変更せずにエネルギーだけを計算)や最適化計算(原子配置が移動する)を選択し、プロジェクトの設定では各計算についてのパラメータ設定を行います。DFT計算のための各種設定も行うことができ、基本的には左から右にクリックしていくことで、迷わずに設定と計算ができるものになっています。

図. SIESTAモデラの特徴
図. SIESTAモデラの特徴

SIESTAを用いたDFT計算において、元素ごとに設定される「数値基底関数」や「擬ポテンシャル」は計算精度や収束性に大きな影響を及ぼします。SIESTAモデラには、スペインのSIMUNE社[2](SIESTAを開発した先生達が立ち上げたスタートアップ)によってチューニングされたデータが含まれており、高精度かつ高速な計算が可能です。

図. SIESTAモデラでは各元素に適切なデータが設定されます図. SIESTAモデラでは各元素に適切なデータが設定されます

SIESTAモデラを用いることで、いくつかの物理量や物性値を専門家でなくても簡単に求めることができます。例えば弾性率のような身近な物性値を評価する際にもちょっとしたテクニックが必要となることがあるのですが、SIESTAモデラーを用いることで過去のノウハウを活用することができます。

NEB(Nudged Elastic Band)計算機能を利用し、化学反応における活性化エネルギーを解析することもできます。EOS(Equation of State)計算機能は固体の体積弾性率を計算することができますし、フォノン解析からは格子比熱や弾性率について情報を得ることができます。第一原理MD計算機能を利用して熱膨張や反応について解析することも可能です。

実際に計算を実施した事例「分子間相互作用の計算」をご覧ください。以下の図は実際のSIESTAモデラの画面の例ですが、今後のバージョンアップで計算できる物理量や物性はさらに増えていく予定です(一部は有償オプションでのご提供となります)。

図. SIESTAモデラで計算できる対象の例図. SIESTAモデラで計算できる対象の例

SIESTA界面エネルギー推算ツール

J-OCTAに含まれるCOGNAC、VSOP、GROMACS、LAMMPSなどの分子動力学(MD)エンジンを用いて、「有機/無機の界面」の計算を実施することがあります。電極界面、接着剤やフィラー表面の設計など、計算対象は多岐にわたります。詳細はJ-OCTAの事例一覧をご参照下さい。その際に問題となるのは力場パラメータです。無機材料と有機分子、それぞれを構成する原子間に働く相互作用を表現する力場パラメータはなかなか見つかりません。

そこで「SIESTA界面エネルギーツール」を用いることで、無機表面に有機分子を配置し(網羅的&分子の回転を考慮することも可能)、さらに表面からの距離も変化させてDFT計算を実施することで、エネルギー曲線を評価します。 さらにJ-OCTAには、得られたエネルギー曲線を再現する力場パラメータを同定する機能がありますので、これによって有機/無機界面のMD計算が可能となります。

ちなみに、このような計算ではSIESTAの強みが発揮されます。SIESTAをはじめ、この手のDFT計算では周期境界条件が付与されますが、これはシミュレーションボックスの各方向に同じ構造が繰り返される状況を意味します。つまり、吸着させる有機分子のすぐ隣に同じ分子がいることになり、表面の面積をなるべく大きくとる必要があります(分子同士の干渉を避けるため)。また、無機結晶(スラブ構造)の厚さもある程度必要になることから、どうしても原子数が増えてしまいます。数値局在基底を用いているSIESTAのメモリ消費量は平面波基底のソフトウェアと比べて少なく、さらに真空領域を含むような不均一な構造の計算で有利です。加えて、SIESTAにはvan der Waals(ファンデルワールス)力の評価に適した機能[3]も含まれており、このような評価に適しています。

下図は、銅の表面にプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンを吸着させた際のエネルギー曲線で、点がSIESTA(DFT)の結果、実線はDFTの結果から同定された力場パラメータを用いたデータです。各分子で共通する力場パラメータを求めたため、実線と点は少しずれている個所が見られますが、ここは調整可能です。

図.SIESTA界面エネルギーツール図.SIESTA界面エネルギーツール

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