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[解析事例] Moldex3Dにより光学製品の精密成形工程を最適化

事例カテゴリ
レンズ成形

国立台湾科技大学 (NTUST) は、台湾における技術的なおよび職業教育のための高等教育施設として1974年8月1日に設立されました。大学設立時からの目標は、高度な経済発展と産業開発によって求められる社会ニーズに答えられる、熟練したエンジニアとマネージャーの育成です。 (引用元: www-e.ntust.edu.tw

導入企業様 プロフィール

事例要旨

光学製品の精密成形の市場要求がますます高まるなか、光学製品の場合、厳密な品質が求められるため、残留応力やそり変形、ヒケなどの問題を回避することが非常に重要になります。NTUSTの精密加工研究所(PML) はインモールド精密圧縮(IMMC) 工程の開発を目的とし、上記の課題に取り組み、射出成形工程の最適化のための研究を行っています。PLMラボは Moldex3D射出圧縮成形ソリューションを導入し、IMMC工程の影響と効果をシミュレーションし検証を行いました。Moldex3Dのシミュレーション結果から、 IMMC工程はヒケや体積収縮を飛躍的に軽減し、光収集効率を向上させることがわかりました。ここでは、Moldex3Dシミュレーション結果と実際の成形品を比較検証した事例をご紹介します。

課題

・不均一な圧力分布
・高い収縮率
・そり変形

ソリューション

Moldex3D 射出圧縮解析機能を導入し、 IMMC工程の検証を行いました

利点

・均一な圧力分布を実現
・輝度が7.35%向上
・体積収縮率が6.62% から 4.25%に減少

ケーススタディ

Fig. 1 プリズムアレイは日光を収集するように設計された光学製品です Fig. 1 プリズムアレイは日光を収集するように設計された光学製品です

プラスチックプリズムアレイの性能を向上させるため、PMLラボはインモールド精密圧縮(IMMC) 工程を研究してきました。プリズムアレイは、日光を収集するように設計された光学製品です。この構造を考慮し、ゲート位置を薄肉部分に配置したところ、フローバランスが悪くなり、大規模な体積収縮(変形)が発生してしまいました。この欠陥は光の収集/伝達/出力に大きな影響を及ぼします。この欠陥による体積収縮と残留応力を低減するため、PLMラボはMoldex3Dを導入し、成形工程の最適化を図りました。

Fig. 2 光学製品には2つの凹みがあるため、フローバランスが悪くなります Fig. 2 光学製品には2つの凹みがあるため、フローバランスが悪くなります

まず始めに、PMLラボはMoldex3Dを使って従来の射出成形工程をシミュレーションしました。解析結果から、厚い部分のヒケ指数が大きくなることがわかりました (Fig. 3-左)。溶融温度が高温なので、表面が内部方向に引っ張られてヒケが発生します。ヒケのシミュレーション結果でも、製品の端部に潜在的な収縮エリアが発生することを示しています (Fig. 3)。

Fig.3 保圧時のヒケ指数(左) とヒケ変位 (右) Fig.3 保圧時のヒケ指数(左) とヒケ変位 (右)

射出成形工程のシミュレーションの実行後、新たな成形方法としてIMMC をMoldex3D でテストすることになりました。解析結果ではIMMCの体積収縮の最大値(Fig. 4)は、射出成形のもの(Fig. 4)と比較して18.9%減少することがわかりました。そり変形問題に関しても、IMMCではZ変位が71%改善できることがわかりました(Fig. 5)。

(a) (b)
Fig. 4 保圧解析による体積収縮最大値(a) 射出成形品 -2.9%〜2.323% ; (b) IMMCによる成形品 -3.7%〜0.69% Fig. 4 保圧解析による体積収縮最大値(a) 射出成形品 -2.9%〜2.323% ; (b) IMMCによる成形品 -3.7%〜0.69%

Fig. 4 保圧解析による体積収縮最大値(a) 射出成形品 -2.9%〜2.323% ; (b) IMMCによる成形品 -3.7%〜0.69%

(a) (b)
Fig. 5 そり変形解析によるZ変位(a) 射出成形品 -1.497〜0.701mm(b) IMMCによる成形品 -0.325〜0.311mm Fig. 5 そり変形解析によるZ変位(a) 射出成形品 -1.497〜0.701mm(b) IMMCによる成形品 -0.325〜0.311mm

Fig. 5 そり変形解析によるZ変位(a) 射出成形品 -1.497〜0.701mm(b) IMMCによる成形品 -0.325〜0.311mm

Moldex3Dを使って2つの成形工程の光学解析結果を比較すると、射出成形品のゲート近くのフリンジパターン(干渉縞)がより顕著であることがわかります (Fig. 6)。この解析結果から光学製品では、高い保圧圧力によって発生する残留応力が大きいことがわかります。一方、IMMC製品のゲート近くのフリンジパターン(干渉縞)は小規模でした。これはインモールド圧縮により、ゲート近くの圧力があまり上がらなかったためと考えられます。

Fig. 6 射出成形工程(左)と IMMC 工程 (右)のトータルフリンジパタン(干渉縞)解析の結果 Fig. 6 射出成形工程(左)と IMMC 工程 (右)のトータルフリンジパタン(干渉縞)解析の結果

Fig. 6 射出成形工程(左)と IMMC 工程 (右)のトータルフリンジパタン(干渉縞)解析の結果

次にPMLラボは、実際の成形品とシミュレーション結果の比較検証を行いました。ヒケ解析では、実際の成形品とシミュレーション結果が類似傾向を示しました(Fig. 7)。IMMCシミュレーション結果と実際の成形品との比較でも、類似傾向を示すことが確認されました。Fig. 8のように、IMMCによってヒケが完全に解消され、欠陥のない光学製品を製造することができました。

Fig. 7 Moldex3Dのヒケ解析と実際の成形品の比較 Fig. 7 Moldex3Dのヒケ解析と実際の成形品の比較

Fig. 8 IMMC工程によって成形された製品には致命的な欠陥はない Fig. 8 IMMC工程によって成形された製品には致命的な欠陥はない

結論

PMLラボはLEDライトを使って、さらに製品検証を行いました。IMMCと射出成形の平均輝度は、それぞれ299Luxと321Luxです。照度は7.35%向上しました。

最後に、2つの工程のフリンジパターン(干渉縞)を比較検証しました。Fig. 9 はフリンジパターンのシミュレーション結果と実際の成形試作品との比較です。シミュレーション結果と試作品が類似傾向を示していることがわかります。

以上の結果から、Moldex3Dを用いることにより、光学製品コンポーネントの成形工程を効率的に評価し、最適化することができ、試作検証に関するコストおよびリスクを軽減することができました。

Fig. 9 フリンジパターン(干渉縞)結果:Moldex3Dによる結果(左)と実際の試作品(右)は類似傾向を示している Fig. 9 フリンジパターン(干渉縞)結果:Moldex3Dによる結果(左)と実際の試作品(右)は類似傾向を示している

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
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