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[解析事例] Moldex3DとLS-DYNAを統合し、スキャナーパーツの反り変形という難題の改善に成功

事例カテゴリ
変形 / 構造連成

ライトン社は全製品ラインにおいて、台湾ナンバーワン、世界トップ3を目指すことを各事業部門の目標として掲げています。現在、台湾並びに世界で優位性を有する主力製品としては、画像製品、シャーシ製品、電源製品、発光ダイオード(LED)などがあり、台湾市場でトップの地位を築き、世界市場でも揺るぎない地位を占めています。(出展: http://www.liteon.com/

導入企業様 プロフィール

事例要旨

CIS(コンタクトイメージセンサー、Contact Image Sensor)は、スキャナー構造内の重要な構成部品です。ライトン社では、CISフレームとガラスのアセンブリ後、製品の運送過程において、残留応力の放出によりCISフレームが変形し、ガラス脱離という問題が発生しました。この問題を解決するために、ライトンは樹脂流動解析ソフトウェアMoldex3D AdvancedとFEAインターフェース機能、構造分析ソフトウェアLS-DYNAにより、製造工程で発生する残留応力が製品の変形に与える影響を検証しました。そして射出成形工程の改善後、ライトンは予定期間内に不具合のない製品を生産することに成功しました。

課題

・細長い製品はアンバランス現象を容易に引き起こす
・変形許容範囲:水平方向に0.4mm以内、垂直方向に0.8mm以内に制御する必要あり
・CISフレーム変形は製品の脱離をもたらす

ソリューション

Moldex3D FEAインターフェース機能とLS-DYNAを併用することで、ライトン社は試作コストを支出することなく、フィード位置と成形条件の最適化を行い、製品反り変形の低減に成功しました。

効果

・流動のアンバランスという問題を解決

・X軸変形量が50%減少(0.34mmから0.17mmに)

・製品の脱離問題を解消

・製品の高精度品質を達成

ケーススタディ

スキャナーのCISフレームは通常、高精度な寸法精度が求められます。この目標を達成するために、ライトンはMoldex3DとLS-DYNAを結合し、CISフレームの寸法安定性を改善させ、成形後の製品変形量を許容範囲内としました。

Fig.1 スキャナーCISフレーム(赤い枠) Fig.1 スキャナーCISフレーム(赤い枠)

ライトン社はMoldex3D Advancedを用いて、製品オリジナル設計に対して従来の射出成形工程による成形条件で再現解析を実施しました。その結果、成形品に局所的な流動アンバランスと体積収縮の問題があり、変形のリスクがあることを確認しました。99.9%まで充填する段階で、未充填エリアの充填時間は充填完了エリアと比べて0.7秒遅くなりました(Fig.2)。オリジナル設計のゲート数によりゲート付近に圧力が集中し、極度の体積収縮率が発生していました(Fig.3)。冷却段階で、大きく収縮したエリアはボイドやヒケをもたらす可能性があります。本ケーススタディの製品は、寸法と外観精度への要求が極めて高く、反り変形はまず第一に改善が必要な課題となりました。

Fig.2 99.9%充填時の流動波前 Fig.2 99.9%充填時の流動波前

Fig.3 オリジナル設計の断面の体積收縮状況 Fig.3 オリジナル設計の断面の体積收縮状況

流動のアンバランスを最低限に抑え、反り変形問題を解決するために、ライトン社はゲート設計を変更しました。最も中心にあったゲート(Fig.4)を移動させ、外側のゲートも40mm外に移動しました。Moldex3Dのシュミレーション結果(Fig.5)によると、変更後の設計は効果的に反り変形を改善することができるという結果になりました。

Fig.4 設計変更モデル Fig.4 設計変更モデル

Fig.5 設計変更後のX軸変形 Fig.5 設計変更後のX軸変形

続いて、ライトン社は実機比較検証を行いました。Fig.6が示す通り、オリジナル設計ではシュミレーション及び試作結果ともに明らかな変形があることを示していました。また、それに対し設計変更後の製品(Fig.7)には明らかな收縮エリアがなく、シミュレーションと実機結果ともに反り変形問題は大幅な改善がみられました。実機比較検証により、Moldex3Dのシュミレーション結果と実機試作結果はほぼ同傾向を示しました。

Fig.6 オリジナル設計の実際のテスト結果左)とシュミレーション結果(右)の製品変形状況の比較 Fig.6 オリジナル設計の実際のテスト結果左)とシュミレーション結果(右)の製品変形状況の比較

Fig.7 設計変更後の実機試作結果(左)とシュミレーション結果(右)の製品変形結果比較 Fig.7 設計変更後の実機試作結果(左)とシュミレーション結果(右)の製品変形結果比較

その後、Moldex3Dによる樹脂流動解析結果を構造解析ソフトに引継ぎ、更に製品アセンブリの構造解析を行いました。ライトン社はLS-DYNAで構造解析を行い、線性弾性解析によりアセンブリ過程で引き起こされる変形と残留応力(Fig.8)を検証しました。オリジナル設計において、CISフレーム変形はガラス構造に対する圧縮力により、ガラスの脱離を引き起こしていましたが、設計の最適化後は約75%の残留応力を軽減することができました。

Fig.8 ガラス構造とCISフレームのアセンブリ後のオリジナル設計(左)と設計変更(右)の応力変化の比較 Fig.8 ガラス構造とCISフレームのアセンブリ後のオリジナル設計(左)と設計変更(右)の応力変化の比較

結論

Moldex3DとLS-DYNAの統合により、正確に製品の反り変形による不具合を予測することができました。Moldex3D FEAインターフェース機能モジュールにより、樹脂流動解析から得られる繊維配向、熱機械特性、残留応力などの解析結果情報をLS-DYNAに引継ぎ、構造解析において射出成形工程で発生する材料特性変化を考慮することで、より実際に近い信頼性の高い解析結果を得ることができます。ライトン社はコスト削減と生産効率化の両立に成功し、高品質製品を生産し、プラスチック製品設計、及び製造において確固たる自信を得ることができました。

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
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