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[解析事例] Moldex3Dにより車窓のガラスランチャンネルの変形を解決する方法を特定

事例カテゴリ
特殊成形

DURA Automotive Systems社は世界的なサプライヤーとして、自動車設計と自動車工学に精通しており、革新的なソリューションで自動車産業の発展を支えています。100年を超える研究開発の歴史をもつDURA社は、革新的かつ総合的な電子システム・軽量化ソリューションを生み出すサプライヤーとして大手自動車メーカーから厚い信頼を寄せられています。(出典:http://www.duraauto.com/)

導入企業様 プロフィール

概要

当事例では、車のウインドウのエッジピースを取り上げます。エッジピースは透明なガラス、ガラスラン・チャネル(GRC)、アルミはめ込み具の3つの部品で構成されています。このうち、GRCの変形が原因で製品のギャップとフラッシュの仕様を満足できず、組み立てが困難になっていました。DURA社のエンジニアは、変形の原因を特定するためにMoldex3Dを利用しました。その結果、PVCの厚い壁とGRCの接触が製品機能に問題を起こしていることを突き止めました。そこで、DURA社のエンジニアは、強度を維持したまま製品の厚みと変形を減らすため、ABS製はめ込み具を採用しました。その結果、DURA社はMoldex3Dの解析結果に基づいてツールを改良することで最適設計を導き出し、反り変形の解消、および組み立ての問題を解決しました。

課題

・反り変形に起因する組立時の問題
・ヒケ
・冷却時間の短縮

導入ソリューション

DURA社は反り変形、冷却、ヒケの問題を解決するため、Moldex3Dを利用してGRCの設計改良を検証しました。

メリット

・流動バランス改善

・X方向変形量の80%低減、ギャップとフラッシュの問題解消、スムーズな組立

・ヒケの解消

・冷却時間の66%短縮

・開発期間の短縮

ケーススタディ

本事例では、ウィンドウのエッジピースにおいてギャップとフラッシュの仕様を満たす必要がありました。当製品は透明なガラス、ガラスランチャンネル(GRC)、アルミ製はめ込み具の3種類のはめ込みパーツで構成され、またPVC材料で覆われています(Fig. 1、Fig. 2)。GRC付近のPVC板厚が変形の原因ですが、この厚みを減らすと製品の組み立てが困難になります。

Fig. 1 エッジピースのはめ込みパーツ:(1)透明ガラス、(2)ガラスランチャンネル(GRC)、(3)アルミ製はめ込み具 Fig. 1 エッジピースのはめ込みパーツ:(1)透明ガラス、(2)ガラスランチャンネル(GRC)、(3)アルミ製はめ込み具

Fig. 2 実際の組立図 Fig. 2 実際の組立図

成形後の収縮と冷却が不均一であることが原因で、GRCはX方向に5 mm変形していました(Fig. 3)。そのため、GRCはギャップとフラッシュの仕様を満たせず、組み立てにも問題が生じていました。そこでDURA社は、Moldex3Dを用いて問題の関連性を解析し、GRCの変形の原因を特定しました(Fig. 4)。

Fig. 3 GRCの変形 Fig. 3 GRCの変形

Fig. 4 Moldex3D反り変形解析の結果:GRCがX方向へ5mm変形 Fig. 4 Moldex3D反り変形解析の結果:GRCがX方向へ5mm変形

Moldex3Dによる解析から、反り変形の原因を確認できました。この問題には、大きく分けて次の4つの原因がありました:GRC付近のPVC板厚が不均一(Fig. 5)、冷却終了時に生じるホットスポット(Fig. 6)、製品の不均一な収縮、冷却時間の不足。さらに、冷却終了時に発生するヒケも問題でした(Fig. 7)。

Fig. 5 不均一な板厚:製品の厚みは場所により0.5 mm 〜13.4 mmと大きく異なる Fig. 5 不均一な板厚:製品の厚みは場所により0.5 mm 〜13.4 mmと大きく異なる

Fig. 6 プラスチック溶融エリア: 製品の冷却終了時で中心部は未固化(青色部分は冷却終了時点でまだ固化していない事を表す) Fig. 6 プラスチック溶融エリア: 製品の冷却終了時で中心部は未固化(青色部分は冷却終了時点でまだ固化していない事を表す)

Fig. 7 冷却終了時に発生したヒケマーク:最大0.1 mm Fig. 7 冷却終了時に発生したヒケマーク:最大0.1 mm

DURA社は製品設計とプロセスパラメーターの修正による変形問題の解決を目指しましたが、ギャップとフラッシュの仕様を満足することはできませんでした。そこでABS製はめ込み具を厚肉部分へ適用するという対策をMoldex3Dにより検証確認しました。解析により効果確認が出来たので、実機に対策を施す事で製品の厚みや部品強度に影響することなく変形を解消することができました(Fig. 8、Fig. 9)。

Fig. 8 修正後の製品設計 Fig. 8 修正後の製品設計

Fig. 9 当初の設計とABS製はめ込み具を追加した設計 Fig. 9 当初の設計とABS製はめ込み具を追加した設計

Moldex3Dの解析によって、反り変形の問題を解決し(Fig. 10、Fig. 11)、また、組み立ての難題も解消しました。必要な冷却時間も112秒から38秒に短縮され(Fig. 12、Fig. 13)、ヒケの問題も解決しました(Fig. 14)。

Fig. 10 設計修正後、X軸方向の反り変形が5 mmから1 mmに縮小Fig. 10 設計修正後、X軸方向の反り変形が5 mmから1 mmに縮小

Fig. 11 実際の組立図。ABS製はめ込み具の追加により、X軸方向の反り変形が1 mmに縮小Fig. 11 実際の組立図。ABS製はめ込み具の追加により、X軸方向の反り変形が1 mmに縮小

Fig. 12 プラスチック溶融エリア。ABS製はめ込み具の追加後、中心部の未固化問題は大幅に改善Fig. 12 プラスチック溶融エリア。ABS製はめ込み具の追加後、中心部の未固化問題は大幅に改善

Fig. 13 ABS製はめ込み具の追加後、必要な冷却時間が短縮され、35〜40秒で十分突き出し温度に到達Fig. 13 ABS製はめ込み具の追加後、必要な冷却時間が短縮され、35〜40秒で十分突き出し温度に到達

Fig. 14 ヒケが0.1 mmから0 mmへ改善Fig. 14 ヒケが0.1 mmから0 mmへ改善

結論

DURA社はMoldex3Dを用いて製品の設計変更案を検証し、ABS製はめ込み具を肉厚箇所に置くことで、製品強度を維持したままGRCの厚さを85%近く減らせることがわかりました。また、Moldex3DのサポートによりDURA社は変形に影響する原因を特定することに成功し、最適化後のデザインは反り変形、ヒケを効果的に低減させ、成形サイクルの短縮を実現しました(Table.1)。

Table.1 当初の設計と設計変更後の結果の比較Table.1 当初の設計と設計変更後の結果の比較

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
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