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[解析事例] タブレットのバックパネルのそり変形を92%改善

事例カテゴリ
変形

ペガトロンは2008年に設立され、豊富な製品開発経験と生産プロセスの垂直統合により、革新的な設計からシステム化された生産、製造サービスにいたるまでの一貫したプロセスをお客様に提供している企業です。EMSとODM産業を融合した新たなDMS(設計・製造サービス)企業となり、競合他社に先駆けて、最先端の製品と優位なビジネスを展開しています。(出典: http://www.PEGATRONcorp.com

導入企業様 プロフィール

概要

製品の軽量、薄型化のため、ペガトロン社はタブレットのバックパネルの厚さを1.5mmから1mmに変更するともに、0.5mmの金属パーツをインサート部品として組込むことが課題でした(図1)。薄肉部品の成形に際しては、フローバランスの問題が生じやすいうえに、製品の構造強度も考慮しなければならないという大きな課題がありました。ペガトロン社はMoldex3Dを用いる事により金型設計を最適化し、収縮による変形の改善を行うとともに、FEAインターフェース機能を介して構造解析ソフトウェアと統合することで製品強度を検証しました。

図1 本事例の金属インサート部品を含む薄肉部品 図1 本事例の金属インサート部品を含む薄肉部品

課題

・ショートショット
・エアートラップ
・肉厚の違いによって生じる著しい変形

導入ソリューション

ペガトロン社はMoldex3Dを利用することで製品のそり変形の原因を追究し、Z方向への変形を92%低減することに成功しました。また、構造解析ソフトウェアANSYSとの統合により、製品に必要な強度を確保することに成功しました。

メリット

・厚さを23%低減し、目標とする製品厚さ1mmを達成

・そり変形を92%低減

・圧力損失を8.3%低減

・材料ロスを13%低減

・インサート成形により、生産コストを6%以上削減

ケーススタディ

電子部品の成形プロセスにおいて、冷却は最終製品の品質にとって非常に重要な要素となります。放熱ツールとしては一般的にファンが使用されますが、一部のファンが使用できない事例においては、アルミニウム製や銅製の放熱板のみをインサート部品として使用することになり、金属パネルは厚みや幅が増すほど冷却効率が向上します。本事例では、製品のZ方向への厚さが仕様によって固定されており、そのため金属インサート部品の厚さを増加させる場合、製品の厚さを減少させる必要があります。また、同時に製品構造も十分な強度を維持していることが求められます。
ペガトロン社は、まず既存の金型を使用して金属インサート部品の熱伝導テストを行い、インサート部品の組込みにより、良好な放熱効果が得られることを確認しました。そこで、元の金型と製品設計の変更を決定し(図2)、次に、製造プロセス、製品品質、構造強度の3段階に分けて修正を行うことにしました。

図2 元の設計(左)と変更後の設計(右) 図2 元の設計(左)と変更後の設計(右)

Moldex3Dによる解析を実施したところ、薄肉部品ではスプルー圧力が高くなりすぎ、最大で135MPaにも達していることが確認されました。そこで再度Moldex3Dを使用してランナーの長さを短くすることを検討し、元の設計と変更後の設計(図4)の検証を行いました。その結果、Case3の製品設計では圧力損失が8.3%、材料ロスも13%低減可能なことが確認され、より最適化された設計としてCase3の採用を決定しました。

図4 異なるランナー長の製品設計におけるスプルー圧力結果比較 図4 異なるランナー長の製品設計におけるスプルー圧力結果比較

続いて製品のそり変形の改善に取り組みました。Moldex3Dの解析結果によると製品のZ方向へのそり変形の値は8.12mmで、仕様を1.0mm超えていました。そり変形の結果から製品の収縮の影響の方が熱の影響よりも大きいことが確認されました(図5)。この問題を改善するために、ペガトロン社は材料に異なる割合のガラス繊維を加え、Moldex3Dでそり変形の結果を検証しました。ガラス繊維を加えると、繊維配向は流動方向(X軸方向)に沿い、製品収縮を抑制しそり変形を効果的に減少させ、製品仕様を満たすことが確認できました(図6)。

図5 元の材料のそり変形結果 図5 元の材料のそり変形結果

図6 異なる割合のガラス繊維を追加した材料のそり変形結果比較 図6 異なる割合のガラス繊維を追加した材料のそり変形結果比較

最終段階では製品の構造強度の検証を行いました。Moldex3D FEAインターフェースを使用して応力解析を行い、成形プロセス中に生じるさまざまな要因を検討しました。圧力とねじれの解析を行ったところ、インサート部品とガラス繊維材料を加えると製品の変位を効果的に低減させることが確認できました(図7)。

図7 異なる製品設計、異なる割合のガラス繊維を追加した材料の圧力テストとねじれテストの結果
図7 異なる製品設計、異なる割合のガラス繊維を追加した材料の圧力テストとねじれテストの結果図7 異なる製品設計、異なる割合のガラス繊維を追加した材料の圧力テストとねじれテストの結果

最後に解析結果について実機検証を行ったところ、両者は同じ傾向を示すことが確認されました。平面度の検証においても、異なる割合のガラス繊維を含む材料の解析結果は実機結果と一致していることが確認できました(図8)。

図8 解析と実機における平面度結果の一致 図8 解析と実機における平面度結果の一致

結論

ペガトロン社はMoldex3DのAdvancedモジュールを使用することで製品と金型の設計を効果的に改善することができました。その過程において、製品のそり変形の主な原因を特定するだけでなく、材料変更によるそり変形問題の解決方法も見つけ出すことができ、最終的な実成形においても、必要な構造強度と許容可能な変形量を実現することができました。

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
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