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[解析事例] 共射出成形製品の物理メカニズムの調査と反り変形問題の解消

事例カテゴリ
充填 / 特殊成形

雲科大(国立雲林科技大学)は、博士号をもつ教員が全体の87%を占め、その半数以上がヨーロッパ、アメリカ、日本の有名校で博士号を取得しています。また、科学技術大学の社会的責任としてベンチャー戦略、特定産業、工業区戦略、パートナーシップ学校戦略のコンソーシアムを設立し、地域産業とパートナー学校の発展を支援するなど、名実ともに台湾トップクラスの科学技術大学となっています。(出典)

導入企業様 プロフィール

概要

マルチコンポーネント成形(MCM)はすでに業界で数十年にわたって利用されてきた実績がありますが、材料とプロセスの複雑さから、その研究開発の制御は非常に難しいものとなっています。本事例において、雲科大チームはオーバーモールド成形から共射出成形へと研究範囲を広げ、反り変形の物理的メカニズムの調査を行いました。MCMオーバーモールド成形プロセスでは、不均一な体積収縮、蓄熱、放熱などの要因により、内側への凹みや外側への膨張など、異なる方向に製品の反り変形が生じる可能性があり、反り変形量の制御が必要とされていました。また、共射出MCM成形においては、コア材料の浸透距離が反り変形に大きく影響します。本事例では、コア材料の浸透距離が臨界値を超えた場合に、反り変形が大幅に改善することが確認できました。雲科大はMoldex3Dを使用してプロセス条件の最適化を行い、反り変形を解消しました。今後のMCM共射出成形研究の発展にMoldex3Dによる解析技術が期待されています。

課題

  • ・共射出成形プロセスパラメータの制御(プラスチック材料特性、コア/スキン材料比率、等)
  • ・反り変形問題
  • ・製品寸法精度の制御

導入ソリューション

Moldex3D Co-injection moduleを使用して、最適なコア/スキン材料比率とプロセスパラメータを特定し、コア材料の浸透と反り変形現象の制御に成功しました。

利点

  • ・反り変形を53%低減
  • ・実際の金型試作前の反り変形予測により、不要なコストの浪費を回避
  • ・市場競争力の向上

ケーススタディ

本プロジェクトの主な目的は、製品の反り変形を改善し、反り変形現象の物理的メカニズムを調査することです。共射出成形プロセスへのより踏み込んだ研究を行うため、雲科大チームはMoldex3Dの導入を決定しました。Fig. 1に本事例における製品形状モデル、ランナーシステム、製品寸法を示します。Fig. 2は、反り変形の変化の様子です。図中のS0は製品設計上の元の長さを示しています。Corner AにおいてS1<S0であるとき、製品内側への凹みが生じています。Corner BにおいてS2<S0であるときにも、同様に、製品内側への凹みが生じています。S2-S1は製品の反り変形の傾向を示しています。

Fig. 1 製品形状寸法 Fig. 1 製品形状寸法

Fig. 2 内側への凹み、外側への膨張の定義:(1)Corner AにおいてS1<S0であるとき、製品内側への凹みが生じています。(2)Corner BにおいてS2<S0であるとき、同様に製品内側への凹みが生じています。 Fig. 2 内側への凹み、外側への膨張の定義:(1)Corner AにおいてS1<S0であるとき、製品内側への凹みが生じています。(2)Corner BにおいてS2<S0であるとき、同様に製品内側への凹みが生じています。

調査の結果、反り変形の改善はコア材料の浸透距離に関係していることが確認されました(Fig. 3)。Fig. 3に示すように、コア材料が赤色の対角線を通過した後、すなわちコア材料比率が20%を超えたとき(中心コアの浸透距離が36mmを超えたとき)に、反り変形が大幅に改善されています。以上の結果から、雲科大は以下の設計変更を行いました:(1)コア材料比率の修正、(2)プラスチック材料温度の引き下げ、(3)最初のショットの流量の低減。

Fig. 3 浸透距離の図(ゲートから対角線までの距離) Fig. 3 浸透距離の図(ゲートから対角線までの距離)

Moldex3Dの解析結果の検証から、雲科大はコア/スキン材料比率を引き上げ、最終的に製品の反り変形を0.792mmから0.378mmにまで抑制し、全体で52.7%の改善に成功しました(Fig. 4)。

Fig. 4 コア材料比率と制御因子の変更によるS2-S1の反り変形の違い Fig. 4 コア材料比率と制御因子の変更によるS2-S1の反り変形の違い

結論

Moldex3Dを使用することで、雲科大チームは共射出成形におけるコア材料の浸透挙動を予測し、成形における問題を滞りなく解決することができました。実験結果からもMoldex3Dの予測が非常に高精度であることが証明されました(Fig. 5)。この結果は雲科大の今後の研究計画にとって大いに役立つものであり、多機能複合構造製品の研究における、スキン材料とコア材料といった異なるプラスチック材料の使用への応用が期待されています。

Fig. 5 解析結果と実際のメルト挙動 Fig. 5 解析結果と実際のメルト挙動

事例一覧

  • ※Moldex3Dの開発元は CoreTech System Co., Ltd. です。
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