[活用事例] Simpleware Softwareのデータを活用した化石の新しい展示方法
- 分野
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- 3Dプリンティング
- モジュール
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- ScanIP
3D造形モデル作成におけるSimpleware Softwareの活用
本事例は、名古屋市科学館様、名古屋市工業研究所様、林原自然科学博物館様、モンゴル科学アカデミー古生物学センター様が、化石標本の形状を効果的に展示するために、X線CTで測定後、STLデータを作成、3次元造形機を用いて化石の複製を製作したものです。(データ:名古屋市工業研究所様ご提供)
X線CT撮影と展示用データの作成
Simpleware ScanIP によるモデル化
X線CT撮影時には、一部不鮮明な歯の形状部分や、そのままでは凹凸が多い形状になる部分がありましたが、ScanIPで形状データ作成の際にペイント機能やスムージングフィルターを用いてなめらかな形状にすることができました。一方で歯の頭頂部に開いている穴はそのままのとし、形状を観察できるようにしました。このようにScanIPを使用すると必要に応じて形状修正が可能です。
X線CT撮影画像
ScanIP操作画面
Simpleware ScanIPで生成されるSTLファイル
ScanIPで生成されるSTLファイルは完全に閉じたサーフェースデータで穴開きなどがなく、3次元造形機で使用する前にデータの補正作業が不要です。また、三角パッチの大きさや数を調整することも可能です。
完全に閉じたサーフェースデータ
三角形パッチ
Simpleware ScanIPから出力されるSTLデータを用いて3次元造形機で複製を作成
本事例では、歯と顎との組み合わせ状態を理解しやすくするため、それぞれを別々のモデルとして造形し、着脱が可能な状態としています。また、組み合わせの詳しい状態や、歯の内部構造を観察できるようにするため、中央で2分割したモデルを作成されています。実物化石ではこうした展示方法は難しいため、これも造形物を用いる良さといえます。
造形に使用した元データ
造形においては、形状観察が容易となるよう、
実寸の2倍のサイズでモデルを作成
展示における造形モデル作成の利点
通常の化石展示は手に触れて見ることができません。しかし、造形モデルであれば実際に手に触れ動かして詳細な構造まで観察できます。これは体験者の理解や記憶を助ける有効な手段です。同じ形状データから複製が容易に作成できるので、破損の際の交換も可能であったり多人数向けに複数の同型モデルを用意することも可能です。また、デジタルデータを元に造形するため、拡大や分割したモデルの作成が容易に行えます。着目させたい部分を効果的に見せることができ、通常の化石展示より有利であると言えます。
- ※引用文献:岩間ほか(2013) 3次元データを活用した化石の新しい展示方法. 名古屋市科学館紀要 第39号 p39-43
活用事例一覧
- 3Dプリンティング
- 工業分野
- ※株式会社JSOLはSimpleware Softwareの正規代理店です。
- ※Simpleware Software の開発元は、Synopsys, Inc.(米国)です。
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