IGA Tool Ver5.2が今秋(2021年9月末頃を予定)リリースされます。
IGA Toolは、CAD 形状をAnsys LS-DYNA IGA対応モデル(以降、IGAモデルと呼称)に変換するソフトウエアです。IGA Tool Ver5.2では、以下の5つの機能がアップデートされています。
- Two line sweepによる押出形状のIGA Solid作成
- OffsetによるIGA Solid作成
- IGA Shell New Keywords(*IGA)の出力
- IGA Shell Model Type3の形状精度および変換速度の向上
- IGA Shellに対するLocal Refine機能の拡張
この5つのアップデートのうち、新しく実装された機能(上記1, 2, 3)について、ご紹介します。
現行のIGA Solid作成機能
現行は、トリミングされていない断面一定の形状をsweepすることでIGA Solidを作成することができます。Figure1のように、断面のSurfaceデータおよび、sweep方向を指定するためのGuide curveを準備し、押出形状を作成します。作成できる形状に制約があることから、機能の拡張に期待が集まっていました。
新機能:Two line sweepによる押出形状のIGA Solid作成機能
2つのGuide curveをもとに断面一定の形状をsweepし、IGA Solidを作成する機能が実装されました。Figure2のように、断面のSurfaceデータと、sweep方向を指定する2本のGuide curveを準備します。このGuide curveの始点、終点位置を参照し、断面を拡大または縮小していくように、IGA Solidを作成します。先述のとおり、従来は断面一定の押出形状のみサポートされていました。Ver5.2より、新たに相似断面を連ねて構成されるIGA Solidを作成できるようになりました。
新機能:OffsetによるIGA Solid作成機能
表層のSurfaceデータに対して厚み付けをしてOffsetし、IGA Solidを作成する機能が実装されました。Figure3で示すとおり、表層のSurfaceを準備し、あらかじめ断面をIGA Shell Model Type1に変換をします。このModel Type1(NURBS patch)に対して厚みの値を指定し、Offset Solidを作成します。本機能の実装により、今後薄板、厚板に対するIGA Solidの適用検討が進むと考えられます。
新機能:IGA Shell New Keywords(*IGA)の出力機能
現在、Ansys LS-DYNA IGAのためのNew Keywordsが開発されており、既に開発版のドラフトマニュアルに、*IGAカードとして記載されています。Figure4に示すように、New Keywords(*IGA)では、トポロジーとジオメトリの双方が定義されており、CADシステムのデータ構造を保持した解析が可能となります。
これまでは、Ansys LS-DYNA IGA、つまり、ソルバーサイドの開発が先行しており、New Keywords(*IGA)の出力に対応した汎用モデラーがありませんでした。IGA Tool Ver5.2において、従来のKeywordsに加え、New Keywords(*IGA)による出力機能が新たに実装されました。今後このNew Keywords(*IGA)を通して、CADとCAEの連携を目指した試行が進むものと考えられます。
現在、当社では、ANSYS社と協力し、このNew Keywords(*IGA)のソルバーサイドのブラッシュアップを継続して実施しています。また、ARUP社とも協力し、プリプロセッサ—(ARUP PRIMER)への対応も検討しています。
- ※ Ansys®、及びその他すべてのANSYS, Inc.の製品名は、ANSYS, Inc.またはその子会社の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
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