マルチスケールシミュレーション・ソフトウェア

J-OCTA

マルチスケールシミュレーション・ソフトウェア

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J-OCTA 機能・サービス

J-OCTA(ジェイ・オクタ)は、高分子材料、複合材料、エネルギー材料、エレクトロニクス材料、機能性薄膜・コーティングなどのマテリアルサイエンス分野から、創薬・製剤などのライフサイエンス分野、そして両分野にまたがるバイオマテリアルにも幅広く対応する、マルチスケールシミュレーション・ソフトウェアです。原子・分子からマイクロメートルスケールまでの構造や物性を予測し、複雑な現象の理解や新たな設計指針の創出に役立ちます。シミュレータ同士は共通プラットフォーム上で連携でき、マテリアルズ・インフォマティクスのための機械学習やデータサイエンスとの統合も可能です。研究開発の精度向上や効率化を実現し、マテリアルサイエンスとライフサイエンスの双方でイノベーションを加速させます。豊富な導入実績と手厚いサポートにより、初めての方でも安心してご活用いただけます。

機能のポイント
  • マテリアルサイエンスのためのシミュレーション
  • ライフサイエンスのためのシミュレーション
  • マテリアルズ・インフォマティクス
  • サポートとコンサルティングサービス

マテリアルサイエンスのためのシミュレーション

材料設計では、ナノからマクロに至る多階層(マルチスケール)構造の理解と制御が不可欠です。J-OCTAは、スケールに対応して量子論から連続体理論までをカバーする統合シミュレーションプラットフォームであり、全原子モデル、粗視化モデル、連続体モデルを駆使し、構造・物性の予測からプロセス設計まで対応しています。力学・熱・電気・光学など多様な物性評価に対応し、スケール間連携やデータサイエンスとの統合も可能です。豊富な事例やチュートリアルにより、初めての方でも安心して利用でき、研究者や技術者が構造や挙動の理解を深め、設計・開発へ応用することを支援します。

全原子モデリング

化学構造式の入力から、3次元分子構造の生成、電荷設定のための電子状態計算、多様なポリマーの立体構造や相分離、無機結晶の表面修飾、架橋などの反応まで、全原子モデルを直感的かつ効率的に構築可能です。有機分子・無機結晶・界面を扱える全原子MDのための汎用力場を備え、第一原理計算によるパラメータ調整にも対応します。粗視化モデルからのマッピングや他スケールとの連携によるマルチスケールモデリング環境を提供し、Pythonスクリプトによる柔軟なモデリングやハイスループット計算にも対応しています。
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粗視化モデリング

高分子材料などで顕著となるメソスケール(数10~数100nm)の構造形成や物性発現を捉えるには、複数の原子をまとめて1つのユニットとする粗視化モデルの活用が不可欠です。粗視化分子動力学(CGMD)、散逸粒子動力学(DPD)、平均場法、高分子の管模型に基づくレプテーションダイナミクスなどにより、ポリマーの絡み合い構造、相分離プロセス、レオロジー特性などを解析できます。計算に必要となる粗視化ポテンシャルやFlory-Huggins χパラメータの推算、グラフィカルな粗視化分子構造モデリングに対応しており、汎用パラメータセットの適用や、全原子モデルの情報を用いたボトムアップでのアプローチも可能です。
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マイクロメカニクス・マイクロ流体・プロセスシミュレーション

代表体積要素(RVE)モデラを用いることで、平均場法や散逸粒子動力学(DPD)で得られた相分離構造をインポートしたり複雑な形状を有する仮想的なフィラー分散構造を作成して、ミクロ構造のメッシュデータを生成し、Muffinによる有限要素解析(FEA)を実施することが可能です。より高度な非線形解析のためにAnsys LS-DYNAとのインターフェイスも備えています。さらに、粒子法に基づく流体・粉体・伝熱解析エンジンVSOP-PSを用いることで、電池スラリーや複合樹脂などの微視的構造などに対するプロセス挙動の検討が可能です。材料製造プロセスを扱う初期設計段階の補助に適しています。
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豊富なシミュレーションエンジン群

全原子や粗視化分子動力学ではCOGNAC、VSOP、GENESIS、LAMMPS、GROMACS、HOOMD-buleを選択できます。時間ステップによって切り替えることで、計算速度や特殊機能など各エンジンの強みを活かしたシミュレーションが可能です。粗視化モデルではSUSHI(平均場法)、PASTAとNAPLES(レオロジー解析)、MUFFIN(マイクロ流体・マイクロメカニクス)、VSOP-PS(粒子法)、量子化学・第一原理計算ではSIESTA、ABINIT-MP、MOPAC、Gaussian、Fireflyを実行できます。異なるスケール間の連携も可能で、多様なニーズに応えることが可能です。
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シミュレーション結果の解析と物性推算

電子状態と伝導性、分子間相互作用、分子形状、ポリマー鎖の絡み合い、自由体積分布、相分離構造、界面エネルギー、応力緩和、拡散や熱流など、さまざまなシミュレーション結果に対して多様な物理量の解析が可能です。熱・力学・光・電気に関する様々な物性評価も、直感的な操作で手軽に行えます。豊富な可視化機能により、初心者でも説得力のある画像を簡単に作成できます。スーパーコンピュータなどを用いた大規模計算にも対応しており、数百万~数千万粒子規模のモデル描画も可能です。
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データサイエンスとの連携

モデリングAPI機能を活用することで、MD計算に必要なインプットファイルの作成から計算実行、結果解析までを自動化できます。これにより、多数の計算を効率的に実行するハイスループット計算が可能となり、得られた結果はデータベース(DB)に蓄積されます。マテリアルズ・インフォマティクスではデータ不足が課題となることが多い中、単に物性値を求めるだけでなく、分子構造の特徴量を含むシミュレーション由来のデータを構築できます。さらに、短時間MDの結果から長時間挙動を推定するMD-GAN機能も搭載しています。
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ライフサイエンスのためのシミュレーション

J-OCTAは、マテリアルサイエンスで培った技術を活かし、ライフサイエンス分野にも強力な機能を提供しています。製剤設計では、DDS(ドラッグデリバリーシステム)向けの脂質ナノ粒子(LNP)、固体分散体、薬剤の溶解性の評価などに対応可能です。バイオマテリアル分野では、セルロースなどの糖鎖や脂質の分子構造に基づく物性予測、生体適合性や界面活性の評価に貢献します。創薬分野では、タンパク質とリガンドの結合構造探索や親和性評価を高精度に実施できます。J-OCTAはAI技術との連携も進めており、構造予測からシミュレーションまでを一貫して支援するプラットフォームとして進化を続けています。

全原子モデリング

化学式からの3次元構造生成や電子状態解析に加え、薬物分子や添加剤、水中のプロテインの立体構造、表面修飾された無機粒子との界面まで、全原子モデルを効率的かつ直感的に構築できます。GENESISやGROMACSをはじめとする分子動力学エンジンで用いる有機・無機・界面を扱える汎用力場を備え、第一原理計算によるパラメータ調整も可能です。粗視化モデルからの全原子再構築や他スケールとの接続にも対応し、創薬や製剤プロセスに活用できるマルチスケールモデリング環境を提供します。Pythonによる自動化や、ハイスループットな構造生成にも対応しています。
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粗視化モデリング

メソスケール(数10~数100nm)の構造形成や機能発現を扱うには、複数の原子をまとめた粗視化モデルが有効です。粗視化分子動力学(CGMD)、散逸粒子動力学(DPD)、平均場法などにより、ポリマーや脂質膜の相分離、分散状態、レオロジー特性などを解析可能です。脂質ナノ粒子(LNP)や細胞膜、液-液相分離によるオルガネラ様構造の解析にも対応します。粗視化ポテンシャルの推算やMARTINIパラメータの設定、全原子モデルとの連携によるボトムアップ設計も行えます。
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マイクロ流体・プロセスシミュレーション

マイクロメートルスケールでの流体の解析には、J-OCTAに含まれるMPSなどの粒子法や平均場法を用いることで、薬剤スラリーやコロイド懸濁液、ゲル、エマルションなど複雑な分散系の流動挙動や物性を評価できます。応用対象としてはマイクロフルイディクスチップ内での混合・分離や濃度分布、界面挙動の評価も挙げられ、細胞懸濁液や高分子溶液などの製剤プロセスやバイオ材料調製の最適化に活用できます。
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豊富なシミュレーションエンジン群

全原子や粗視化分子動力学ではCOGNAC、VSOP、GENESIS、GROMACS、LAMMPSを選択できます。時間ステップによって切り替えることで、GPUを活用した高速計算や特殊機能など各エンジンの強みを活かしたシミュレーションが可能です。その他の粗視化モデルではSUSHI(平均場法)、量子化学計算ではABINIT-MP、MOPAC、Gaussian、Fireflyを実行できます。異なるスケール間の連携も可能で、多様なニーズに応えることが可能です。
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シミュレーション結果の解析

プロテイン、薬物分子や添加剤、脂質膜やバイオマテリアルなどを対象に、分子間相互作用、会合状態、拡散係数、自由体積や親疎水性の分布、相分離構造、界面特性など多様な物理量の解析が可能です。自由エネルギー評価や分子の配置・配向解析にも対応しており、LNPや製剤設計などにも活用されています。直感的な操作で可視化・解析が行えるため、初心者でも扱いやすく、スーパーコンピュータを用いた大規模系の描画や解析にも対応しています。
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マテリアルズ・インフォマティクス

マテリアルズ・インフォマティクスの実現に必要なデータサイエンス機能を集めて、MI-Suiteというパッケージとしてご提供しています。J-OCTAのシミュレーション技術をデータサイエンス技術とつなぐことで、データドリブン型の材料設計をサポートします。

MI-Suite

機械学習を用いたQSPR(定量的構造物性相関)により、分子や無機結晶構造から材料物性を高速に予測できます。SMILES形式から様々な分子記述子を計算でき、例えば分子内の電荷分布(σプロファイル)の予測も可能です。これらを特徴量として活用することで効率的、高精度な物性予測が実現します。学習済みライブラリや公的データベースとの連携にも対応し、ユーザーデータの活用も可能です。物性から分子構造を予測する逆解析機能も備えています。
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事例データベース・サポート・コンサルティングサービス

多くの場合、分子シミュレーションはマルチスケール&マルチフィジクスで高度な知識が必要となり、また実際にはどうなっているか分からないミクロな構造を仮説を立てて作ることが多く、初心者には難しさもありますが、J-OCTAの事例データベース(DB)やチュートリアル、シナリオ機能を活用することで着実に取り組めます。シナリオ機能では操作手順をフローチャート化して再利用でき、誤操作の回避やチーム内共有、大量な入力ファイルのバッチ処理にも便利です。

豊富な事例集とシナリオ機能

J-OCTAのシナリオ機能を用いて解析手順をフローチャート化し、計算条件や操作を記録・再利用することで、異なる材料への効率的な適用やチーム内での共有が可能です。J-OCTAの事例DBにはいくつかの解析フローがあらかじめ含まれているため、すぐに物性評価のためのシミュレーションに着手することができます。
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サポートとコンサルティングサービス

サポート契約により、JSOLの専属スタッフが導入初期の支援やメール対応を行い、基礎理論から操作までを扱う各種セミナーも提供しています。J-OCTAを活用したマルチスケールシミュレーション、マテリアルズ・インフォマティクスに関するコンサルティングも実施しており、事例調査からモデル構築、計算、解析、報告まで一括対応。カスタマイズも可能です。お気軽にご相談ください。
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  • J-OCTAは産学連携プロジェクトで開発された ソフトマテリアルに対する統合的なシミュレータ「OCTA」の商用版ソフトウェアです。OCTAはオープンソースソフトウェアです。
  • SIESTAはスペイン等の研究者によって開発された密度汎関数法(DFT)のソフトウェアです。SIESTAはスペインSIMUNE社の登録商標です。
  • GENESISは理化学研究所を中心に開発している分子動力学ソフトウェアで、フリーソフトウェア(LGPLv3)として配布されています。

[1] C. Kobayashi, J. Jung, Y. Matsunaga, T. Mori, T. Ando, K. Tamura, M. Kamiya, and Y. Sugita, J. Compute. Chem. 38, 2193-2206 (2017).
[http://dx.doi.org/10.1002/jcc.24874]
[2] J. Jung, T. Mori, C. Kobayashi, Y. Matsunaga, T. Yoda, M. Feig, and Y. Sugita, WIREs Comput. Mol. Sci., 5, 310-323 (2015).
[http://dx.doi.org/10.1002/wcms.1220]
[3] J.Jung, K.Yagi, C.Tan, H.Oshima, T.Mori, I.Yu, Y.Matsunaga, C.Kobayashi, S.Ito, D.Ugarte La Torre, Y.Sugita, J. Phys. Chem. B 128, 25, 6028-6048 (2024).
[https://doi.org/10.1021/acs.jpcb.4c02096]

[4] ラグメント分子軌道計算エンジンABINIT-MP の文献:S. Tanaka, Y. Mochizuki, Y. Komeiji, Y. Okiyama, K. Fukuzawa, Phys. Chem. Chem. Phys. 16 (2014) 10310-10344 [https://doi.org/10.1039/C4CP00316K]
[5] FCEWS(FMO-DPD)の文献:K. Okuwaki, Y. Mochizuki, H. Doi, T. Ozawa, J. Phys. Chem. B, 122 (2018) 338-347[https://doi.org/10.1021/acs.jpcb.7b08461]

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