講演プログラム
10:00-10:05 | 開会挨拶 |
10:05-10:20 |
- 「J-OCTAの概要と近況」
- 講演者:株式会社JSOL 小沢 拓
|
10:20-11:20 |
- 「高分子の多階層計算はどこまで可能か」
- 講演者:名古屋大学 物質科学専攻 教授 増渕 雄一 様
- 高分子は分子量が巨大で緩和時間が長いため,通常の分子シミュレーションで扱える問題には限りがある.これを克服するために種々の粗視化モデルが開発されている.しかし開発モデル間の整合性はこれまで詳細に検討されておらず,多階層計算は概念としては古いが実施された例は多くない.ここでは粗視化モデル間の整合性を中心に多階層計算の実情を紹介する.
|
11:20-11:50 |
- 「マツダにおける材料モデルベースリサーチ(MBR)とその事例
―ガラス繊維強化樹脂の繊維/樹脂界面の分子動力学解析―」
- 講演者:マツダ株式会社 技術研究所 スペシャリスト 平本 健治 様
- 材料MBRの概要とその事例として繊維強化複合材料の繊維‐樹脂界面の分子動力学シミュレーションを紹介する。
繊維強化複合材料の性能に大きく影響する因子の一つとして、補強繊維とマトリックス樹脂の界面の特性が挙げられる。この界面の特性をマクロからミクロレベルで、測定、観察するための種々の手法は、検討されているが、これらを分子レベルの解析結果と関連づけて、検討した例は少ない。本報告では、複合材料として、ガラス繊維強化樹脂を用いて、実験により測定したガラス繊維と樹脂の界面接着力を分子動力学シミュレーションによる解析結果と比較し、シミュレーションの有効性を検証した。またこの結果から界面強度向上メカニズムを推定した。
|
11:50-13:00 | 昼食 |
13:00-14:00 |
- 「実験及びデータ科学との連携を目指したOCTAの拡張」
- 講演者:先端素材高速開発技術研究組合 技術部 研究員 齋藤 健 様
- 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(委託業務P16010、2016-2021年度)の中で取り組まれている「OCTAの拡張」について紹介する。このプロジェクトでは、
(1)大規模ファイルへの対応を目的としたGOURMETの高速化、
(2)高分子材料の高次構造検討を目的としたGOURMETの描画・解析機能強化、
(3)実験と計算機シミュレーションとの連携研究を目的とした顕微鏡画像の解析・UDF変換機能の実装、
(4)計算機シミュレーションとデータ科学との連携研究を目的とした機械学習・深層学習機能の実装、
などの拡張に取り組んでいる。
当日は、各拡張機能の一端を紹介し、これらを用いた高分子材料開発の展望について述べる。
|
14:00-14:30 |
- 「SIESTAとJ-OCTAの連携」
- 講演者:株式会社JSOL 新田 浩也
- J-OCTA Ver4からSIESTAとのインターフェイスがとられ、特に表面-分子の相互作用を密度汎関数理論で計算することができるようになりました。J-OCTA/SIESTAを用いた界面系の計算について最新の状況を報告します。
|
14:30-14:50 | 休憩 |
14:50-15:20 |
- 「当社における分子シミュレーションの活用」
- 講演者:富士電機株式会社 技術開発本部 先端技術研究所 材料基礎技術研究センター 応用物理研究部 小笠原 美紀 様
- 現在当社では次世代パワー半導体としてSiCデバイスを開発している。SiCは基板とゲート酸化膜界面に厚さ数nmの遷移層を有しており、これがデバイスの移動度を低下させている。
そのため、遷移層の化学的な構造やその形成メカニズムの解明が求められている。また、SiCチップを電極等と共にエポキシ樹脂で封止したモジュールは、使用中に部材間の剥離によって絶縁耐圧が低下する問題がある。この問題を解決するには従来の構造設計による応力緩和だけでなく、部材同士の界面の密着力向上が必要である。これらの開発課題に対して、第一原理計算や分子動力学計算を用いて原子レベルで解析した結果を紹介する。
|
15:20-16:20 |
- 「マルチスケール手法と機械学習を用いた分子動力学シミュレーションによる物理量予測」
- 講演者:慶應義塾大学 理工学部機械工学科 教授 泰岡 顕治 様
- 本講演では分子動力学(MD)シミュレーションに関する2つのトピックスについて紹介する。
1つ目は全原子MDとKremerGrestモデルの粗視化MDをつなぐためのマルチスケールシミュレーション技術で、高分子の構造とダイナミクスについて2つの手法をマッピングした例を示す。
2つ目は機械学習(深層学習)の技術を用いて、短時間の分子動力学の結果から長時間のダイナミクスを予測する手法で、低分子と高分子それぞれに適用した例を示す。
-
具体的な内容は以下の文献を参照していただきたい。
Scientific Reports, 7, 12379 (2017)
Thirty-Second AAAI Conference on Artificial Intelligence, 2192 (2018).
|
16:20-16:40 | 休憩 |
16:40-17:40 |
- 「J-OCTAの新機能紹介」
- 講演者:株式会社JSOL 吉田 英代 / 大畠 広介
- J-OCTAの最新版では、外部モジュールとの連携強化や、新力場への対応に加え、シナリオ機能の拡張や各種モデラの機能改善が行われています。また、来年リリース予定のV5.0では、機械学習とのインターフェイス追加や分子モデリングの機能拡張などを予定しています。前半では、新機能の概要や操作方法等をご紹介、後半では、最新のR&Dを含めた応用機能をご紹介します。
|
17:40-17:45 | 閉会挨拶 |
18:00-19:30 | 懇親会 |
- ※プログラム内容は、予告なく変更する場合がございます。