お客様インタビュー

「JSTAMP」のスプリングバック予測精度がもたらす、顧客への提案力・信頼の向上

株式会社ツバメックス 様
導入のメリット
  • 成形不良(割れ・しわ)を事前に把握し、スプリングバック予測精度の大幅な向上で、試作や金型修正の回数削減
  • 営業段階での顧客向け提案力が強化され、お客様の信頼獲得と受注力向上に貢献
  • 今までは届かないような、高い目標へのチャレンジが可能
お話を伺った方
お話を伺った方
小野塚 保 氏
  • 株式会社ツバメックス
お話を伺った方
土田 章裕 氏
  • 株式会社ツバメックス
— 会社の紹介と担当されているお仕事についてお聞かせください。
小野塚当社は新潟県の燕三条地域を拠点に、プレス金型やプラスチック金型の設計・製造のほか、金属プレス加工やプラスチック成型品加工を手掛けています。1982年に国内の金型業界で初めて3次元設計ソフト「CATIA」を導入し、業界に先駆けてデジタル化を進めました。その後、1998年には独自の3次元設計システム「TADD(TSUBAMEX Auto Die Design system)」を開発し、営業情報から図面やビューワ等の製造プロセスまで、すべてをデジタルで一元管理・連携する体制を構築しています。
私自身は金型部門の技術職として、プレス部品の工程設計を担当しています。お客様が「こういった部品を作りたい」という要望を持ってこられたときに、それをどのような工程で実現できるかを検討し、最適な加工手順を設計するのが私の仕事です。工程数や加工方法によって金型のコストも大きく変わるため、見積もりを含め、営業部門と密に連携しながら検討を進めています。
土田私も小野塚と同様に、金型部門で工程設計を担当しながら、CAEソフトの機能や性能を活用した検証をメンバーと共に進めています。また、自分で調べた使い方を雛型化し、業務に取り入れやすくする工夫もしています。
— 独自のシステム「TADD」について、もう少し詳しく教えてください。
小野塚「TADD」は、1998年に「CATIA」の大規模カスタマイズを経て構築した、オール3次元の金型設計・生産連携システムです。当社のものづくりは、営業→構想設計→金型設計→生産準備→金型製作→調整→現地調整といった流れで行いますが、これらすべての工程情報を3次元のデジタルデータを含めて一元管理しています。営業や技術部門が入力した情報が、そのまま購買システムや生産の各工程に引き継がれるため、情報の重複入力や伝達ミスが起きにくくなっているのも特長です。
当社では紙の図面は使用していません。
工場では、タブレット端末を使ってボタン1つで3Dデータの視点を変え確認しながら作業ができています。たとえば、焼き入れの進捗状況も、色分けされた画面をその場ですぐに確認できますし、現場作業時にいちいち図面や資料を見に設計室へ戻る必要がなく、ポータルサイトを通じて手元で直接確認することができるため、作業効率化にもつながっています。
— その中で「JSTAMP」はどのような役割を果たしているのでしょうか。
小野塚主にフロントローディングを強化するために使用しています。「JSTAMP」は金属をプレスする際の成形不良(割れ・しわ)を把握でき、「スプリングバック」を高精度に予測することができるので、工程設計段階での金型の成形性およびスプリングバックの事前検証に活用しています。製造過程での対応になると、工期やコストの増加に直結するので「JSTAMP」は大きな役割を担ってくれています。
また「JSTAMP」の簡易解析も受注前の相談に活用しています。見積依頼では、プレス製品のブランク展開から材料歩留まりを算出し、金型サイズの見極めではTADOデータ蓄積による過去の実績も交えながら提示しています。またデザインを含めた成形性等の懸念事項は、「JSTAMP」の解析結果を提示することで妥当性の裏付があり、顧客からの信頼向上につながっていると思います。
— 「JSTAMP」を導入した経緯を教えてください。
小野塚導入以前から自動車業界で適用が進む超ハイテン材やマルチマテリアル化で金型の難易度が高くなり、試作や修正の頻度が増えて徐々に収益性を悪化させていました。特に、金型製造の出来は70%が上流の金型設計や工程設計で決定されると言われるぐらい、設計段階の精度向上が、非常に重要なポイントでした。
そんな折、2019年に弊社がサンスターグループへ加入した際、“上流の生産技術を強化・改善していこう”という、上層部からの熱い想いを受け取り、金型製造の精度向上のためのボトムアップによる検討がスタートしました。
他社様から学ばせて頂いたり、各種セミナーに行った結果、金型製造数に対するCAE解析の活用が不足しているという仮説を立て、CAEソフトの追加を決めました。競合ソフトも検討しましたが、Ansys LS-DYNAで汎用性があり、解析精度や日本企業の信頼性、Y-Uモデルの実績で「JSTAMP」の導入を進めることにしました。
— 他にも候補があったと思いますが、「JSTAMP」を選定した決め手は何ですか?
小野塚高精度なシミュレーションが可能なことが、最大の決め手です。特に材料特性を正確に表現する「Y-Uモデル(Yoshida-Uemoriモデル)」や、金型の「自動見込み」機能に魅力を感じました。また、他のCAEソフトとの併用が可能である点や、シミュレーション結果を直接、設計や製造に活用できる仕組みが整っていることも評価しました。
— 実際に導入して、どのような効果がありましたか?
小野塚最大の課題であった「スプリングバック」の予測精度が大幅に向上し、試作や金型修正の回数を削減することができました。当然、すべてが一発で決まるわけではありませんが、特にシンプルな形状では、試作回数の削減に結びついています。
また、プレス製品の精度には金型そのものの精度が不可欠で、当社では、元自動車メーカーの社員の方ご協力で、机上ではない現実・現物の問題からのアプローチも教わることができています。いくつかの課題をフロントローディング化した結果、金型の当たり調整(金型そのものの精度)が良くなっていると評価されるようになったんです。このように、フロントローディングと現場と、両方の課題に向き合った結果、高品質な製品製造に必要な金型の修正工数も年々右肩下がりになっています。ほかにも、スプリングバック補正の見込み面を品質良く生成する「OmniCAD」との併用も成果を生んでいます。このようにCAE情報が豊富になり、各工程において最適なツールを選択できるようになったことも、大きいと感じています。設計段階での課題発見・解決能力が高まり、顧客への提案力と納得感も飛躍的に向上しました。さらに、社内では材料試験を標準業務として取り入れ、「Y-Uモデル」を活用することにより材料特性を数値で把握できるようになりました。これにより、解析に用いるデータの信頼性が高まり、シミュレーション結果の精度向上にもつながっています。
また、直接的な効果というわけではないのですが、「JSTAMP」を導入することで、手が届きそうで届かない、ジャンプしてやっと届くような難しい目標に、チャレンジすることができるようになりました。もちろん、その結果届かなかったり、悩みが増えたりする場合もありますが、考え方を変えるきっかけにもなりますし、そこは前向きに捉えています。
— 「JSTAMP」の導入で、営業活動に変化はありましたか?
小野塚営業活動においても、シミュレーション結果を反映することで精度の高い見積もりや提案が可能となりました。お客様に対して、具体的な根拠に基づく説明が可能になったことで、受注段階で信頼を得ることができるようになったと思います。また、自動車関係のメーカー様では、独自にCAE解析をされていることが多いのですが、プレス製品の初期検討段階で、CAEデータを当社と共有することができています。
デザイン性が高いシンク、キッチン用の設備や農機・建機のプレス製品では、製品自体のプレス成形の条件や成立性、工程設計等の検討依頼を含めて、当社のような金型メーカーに要求されることがあり、「JSTAMP」の解析結果を踏まえ、製品設計へ関与することもあるんです。社内の量産部門からの「このような部品はプレス成形が可能か」といった問い合わせにも対応することで、プレス製品全般で、受注の引き合いにつながっていると思います。
— 社内でCAEを運用する際の工夫や取り組みを教えてください。
小野塚中小企業では、CAEだけに専念することは難しいと思います。ですから、OJT(実務を通じた教育)を基本とし、社員が設計業務や製造現場を広く経験することで、CAEへの理解を深めることが大事だと思っています。また、製造現場と定期的にコミュニケーションを取ることで、金型製造現場の匠の技術者と設計部門が密接に連携し、実際のギャップ(机上≠現実・現物)を縮める努力もしています。
土田私も小野塚も、CAEの専任ではなく、現場でのトライアルや顧客対応の仕事も行っています。CAEと現場のものづくり、両方の経験値があることで、どちらにもプラスになっていることが多いと感じています。また、私は独学でいろいろ試したり、検証したりすることが多いのですが、知ったことや試したことをマニュアル化しており、それを共有することで、社内のCAE教育やスムーズな運用につながっているのではないかと思っています。
— 今後、「JSTAMP」やJSOLに期待することはありますか?
小野塚今後のお願いとしては、深絞りや温間絞り等、難易度が高い加工への対応強化でしょうか。最近の傾向として、シャープに絞る、難しいデザインの依頼が増えているので、その辺りも対応していただけると助かります。また、AI技術を活用し、プレス製品の難易度設定や金型の工程設計の、精度の高い見積もりが出せたらうれしいですね。成形予測に関する最新情報や、実務的なノウハウの提供も期待しています。
土田私は「JSTAMP」のアダプティブメッシュの計算速度でしょうか。「JSTAMP」は一度細分化されると、細分化の必要がなさそうな部分も細分化したままの状態が多いので、計算に時間が掛かってしまうのではないかと思っています。もちろん、その方が高精度だと思うのですが、時間を優先するような使い方の時はネックとなっています。小野塚も言った通り、難しいデザインの計算、特に深絞りの計算が今以上に速くなると、大変助かると思います。
小野塚あとはぜひ、弊社の「TADD」システムとJSOLさんの知見を組み合わせて、蓄積しているデータ活用のシステムの検討とかできるようになると嬉しいですね。
お客様情報
株式会社ツバメックス ロゴ
株式会社ツバメックス
自動車、建築資材、家電製品等のプレス金型、モールド金型の製造及び金属部品のプレス加工、プラスチック成型品の製造
本社所在地
新潟県新潟市西蒲区高野宮3283-1
設立
1961年
資本金
40百万円 (2022年12月期)
従業員数
176名 (2023年11月現在)

(公開日:2025年11月27日)

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