MatYLDは、高強度アルミ板をはじめとする先進材料のプレス成形シミュレーションにおいて、高次降伏関数のパラメーターを実験データから容易に同定できるソフトウェアです。従来のHill’48などの古典的な降伏関数では、成形途中に発生する「しわ」を適切に表現できず、結果として試作段階で大幅な手戻りが発生する問題がありました。MatYLDを用いることで、YoshidaやYld2000-2dといった最新の高次降伏関数を活用し、従来表現困難であった成形過程の不具合を高精度に再現できます。特に「しわの表現性能向上」や「スプリングバック予測の高精度化」といった実設計に直結する効果を得られるため、設計段階から信頼性の高いシミュレーションを行い、不良低減や試作回数削減に大きく貢献します。
MatYLDは、必要な実験データを最小限に抑えながら、最新の高次降伏関数(Yoshida、Yld2000-2d、Gotohなど)に対応する異方性パラメーターを効率的に同定できます。具体的には、板材の3方向の単軸引張試験データ(流動応力・降伏応力:σ0, σ45, σ90、r値:r0, r45, r90)と、等二軸引張応力(σb)の結果だけで、多様な降伏関数に必要なパラメーターを推定可能です。さらに同定後は、降伏曲面や単軸応力ーひずみ特性、r値のグラフを自動生成でき、材料特性の視覚的理解が容易になります。これにより、研究開発者や設計者は材料挙動を迅速に把握し、信頼性の高い材料モデルを効率的に構築可能です。シミュレーション精度の向上に加え、試験コスト削減や開発期間の短縮にもつながります。