課題解決事例

前面衝突解析を題材としたフロントサイドメンバーのばらつき対策

解決

解決のポイント
  • ばらつきの可視化
  • 分岐の原因(トリガー)の推定
  • ばらつき抑制のための対策(ロバスト設計)

ばらつきの可視化

50ケースの解析結果を用いてばらつきの分析を行った事例をご紹介します。
使用ツールは生産ばらつきに起因するCAE解析結果のばらつきや不安定性の可視化・分析に非常に有効なツールDIFFCRASHです。
分析結果は、d3plotなどソルバーの結果ファイルのフォーマットで書き出され、通常利用しているポストプロセッサーで可視化することができます。ケースごとの結果のばらつきが大きい部分がコンター図で高く表示されるので、問題の特定に役立ちます。この例では、バンパービームとクラッシュボックスの付近が赤色で表示され、ばらつきが大きいことが確認できます。

左:5つのシミュレーション結果の重ね描き、右:DIFFCRASHの分析結果プロット
左:5つのシミュレーション結果の重ね描き、右:DIFFCRASHの分析結果プロット
ばらつきが大きい箇所が赤色で示されている
ばらつきが大きい箇所が赤色で示されている

分岐の原因(トリガー)の推定

統計的に最も離れた変形状態をポストプロセッサーで重ね描きすると、差異がある部分を見つけることができます。この例では、DIFFCRASHによる分析でばらつきが大きい(コンター表示の値が大きい)とされた箇所に注目し、スポットウェルドの挙動の差を確認することができました。この挙動のばらつきを抑えることで、全体のばらつきを抑えることができる可能性があります。

統計的に離れた変形状態
統計的に離れた変形状態
重ね書きによるハイライト表示
重ね書きによるハイライト表示
スポットウェルドにおける挙動の差
スポットウェルドにおける挙動の差

ばらつき抑制のための対策(ロバスト設計)

DIFFCRASHでの分析により、入力のばらつきが出力に影響しやすい箇所が判明しました。そこで、該当部分に対策を施して、出力のばらつきを抑制しました。
分岐のトリガーとなっていると考えられる箇所のスポットウェルドに対して、結合を弱める、あるいは削除するといった対策を行いました。それ以外のスポットウェルドには、初期のばらつきをそのまま与えました。
バンパーとクラッシュボックス付近に行った対策の結果、フロア侵入のばらつきが抑えられました(コンターの変化が減少)。また、剛体反力、フロア侵入量のばらつきについても、全体的に抑えることができました。
本手法を拡張する事により、将来的には形状や材質、境界条件のばらつきを含んだケースに対しても効果的な対策の指針を示す事が可能と考えられます。

分岐のトリガーと考えられるスポットウェルド1
分岐のトリガーと考えられるスポットウェルド1
分岐のトリガーと考えられるスポットウェルド2
分岐のトリガーと考えられるスポットウェルド2
スポットウェルドへの対策
スポットウェルドへの対策
フロア侵入(形状)のばらつき抑制
フロア侵入(形状)のばらつき抑制
剛体反力のばらつき抑制
剛体反力のばらつき抑制
フロア侵入量のばらつき抑制
フロア侵入量のばらつき抑制
  • このサイトに掲載されている一部の車体モデルはNCAC/GWUの提供です。
  • DIFFCRASHの開発元はSIDACT GmbH(ドイツ)です。
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