繰返し負荷を受ける金属材料の解析には、バウンシンガー効果や繰返し硬化といった現象を忠実に表現できる弾塑性材料モデルが不可欠です。しかし、これらのモデルには多くの材料パラメータが含まれており、実験データから最適な値を導き出すことは容易ではありません。MatParaは、こうした複雑な作業を自動化し、実験データから適切な材料パラメータを簡便に同定できるソフトウェアです。直感的な操作で専門知識が少ないエンジニアでも精度の高いパラメータを取得でき、熟練者にとっても大幅な時間短縮が可能になります。従来の煩雑な手作業や試行錯誤を軽減し、効率的に正確な材料モデル構築を支援します。その結果、誰でも高精度な解析に必要な材料パラメータをスムーズに取得できる環境を実現します。
MatParaは、世界的に評価の高い吉田・上森モデルを活用するためのパラメータ同定を効率的に行える点が大きな特長です。吉田・上森モデルは、ハイテン材の曲げ成形などで顕著に現れるバウンシンガー効果を正確に表現し、スプリングバック解析において極めて高い精度を発揮するモデルです。国際学会NUMISHEET2011のベンチマークでも参加者の約6割が採用した実績があり、信頼性の高さは折り紙付きです。MatParaでは、引張・圧縮の繰返し試験データからはもちろん、引張試験のみのデータからでも必要なパラメータを自動的に同定できます。さらに、プレス成形シミュレーションシステムJSTAMPとの連携により、実用的な現場レベルで高精度なスプリングバック予測を可能にします。これにより、自動車や輸送機器分野で求められる高精度な成形解析を強力にサポートします。