自動車のデフォッガー回路におけるフィルター挿入効果
ノイズ対策部品を使う場合、「どの部品を使うべきか」「どの場所に挿入すべきか」など、迷われることが多いのではないでしょうか。
EMCoS Studio によって、部品の種類や挿入位置を変えたときの対策効果を、簡単に比較することができます。
解析・利用例のポイント
- ノイズフィルターの効果を試作前に予測
- ケーブル等価回路解析で、高速計算が可能
車載ワイヤハーネスにおける対策部品の重要性
自動車のワイヤハーネス(束線)のEMC設計では、コンデンサー等のノイズ対策部品が重要な役割を果たします。たとえばストップランプ(ブレーキ時に点灯するランプ)やデフォッガー(ガラスの霜・くもり取り用の熱線)の回路などで、そのようなフィルターがしばしば用いられます。
ここでは、あるお客様にご協力いただいて実施した実測・計算の比較例を紹介します。まず実測の写真を示します。電流注入プローブでケーブルにノイズ電流を注入し、観測点(電装品の入力端)に到達するノイズ電圧を測定しています。このセットアップで、観測点の手前に取り付けたコンデンサーの種類を変えて、ノイズの違いを比較しました。
測定セットアップの実測図
解析モデル
測定セットアップに対応するモデルの3次元イメージを示します。ケーブルのノイズ解析に特化した EMCoS Studio の「Hybrid ソルバー」を用いて、等価回路モデルに自動的に変換し、電磁界解析よりも高速な回路シミュレーションによって、観測点で検出される電圧(伝導ノイズ)を計算しました。
Hybrid ソルバーの解析モデル(3次元経路の設定と回路の設定)
結果:ノイズ対策用コンデンサー違いによる伝導ノイズの差を予測
以下の3ケースについて、実測結果とシミュレーション結果を比較したグラフを示します。
(1) ノイズ対策コンデンサーを不使用
(2) 4.7uFのコンデンサーを挿入
(3) 10uFのコンデンサーを挿入
コンデンサーの有無や種類によって伝導ノイズのレベルやピーク周波数が変わること、またその傾向がシミュレーションで再現できていることがわかるかと思います。1モデルあたりの計算時間は、高速な Hybrid ソルバーにより、わずか20秒程度です。
このように、ケーブルや基板へのノイズ対策部品の適切な挿入方法を、試作前にEMCoS Studio によってコンピューター上で迅速に検討することができます。
伝導ノイズの計算結果と実測の比較
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