Ansys RockyTMは、DEM(離散要素法)を用いて粉体や粒子の動きを解析するシミュレーションツールです。DEMとは、砂・粉・錠剤・鉱石のような多数の粒を一つひとつの粒子として扱い、衝突、摩擦、回転、混合、付着、摩耗、詰まりなどの挙動を計算する手法です。これにより、実験では観察しにくい装置内部の粒子の流れ、偏り、滞留、局所的な負荷を可視化でき、粉体プロセスや搬送・混合・破砕装置の設計検討、トラブル原因の把握に役立ちます。通常のDEMでは球形粒子を用いて、粉体挙動を表現しますが、Ansys Rockyでは非球形である多面体、繊維、シェル、凹凸を持つ任意形状の粒子を扱うことができます。これらの形はDBとして登録されているほか、ユーザーがSTLで準備することで、取り込むことも可能です。実材料に近い粒子形状や粒度分布を反映することで、粉体・粒状体・繊維状材料の流動、堆積、混合、搬送挙動をより現実に近い形で評価できます。
Ansys Rockyの大きな強みは、ネイティブなマルチGPUソルバーによる圧倒的な計算速度です。実粒子に近い複雑形状や粒度分布、破砕などを考慮しながら、大規模な粒子系でも高精度を保ったまま現実的な時間で解析できます。マルチGPUで計算能力を束ねることで、メモリ制約を緩和し、大規模モデルでも高速処理を実現します。さらに粗視化手法であるCGM(Coarse-Grain Modeling)により、粒子数削減を通じてメモリ使用量を抑えつつ、スケールの大きいケースの計算効率を高められます。これにより、装置条件や運転条件の比較、設計案の反復検討、スケールアップ検討をより短いサイクルで進めやすくなり、開発スピードと意思決定の質を同時に高めます。
Ansys Rockyは、DEM単体の解析にとどまらず、Ansysエコシステム上で流体解析のAnsys Fluent®、構造解析のAnsys MechanicalTM、機構解析のAnsys MotionTM、最適化処理のAnsys optiSLang®などと連携できます。流体中の粒子輸送、粒子荷重による構造変形、可動機構を含む装置挙動、設計条件の最適化まで一体的に評価でき、現場で起こる複雑な現象をより実務に近い形で検討できます。品質向上、試作回数と開発コストの低減、設備耐久性の予測を効率よく支援します。
Ansys Rockyは粉体を粒子表現するためのDEM解析機能の他に、粒子間の熱伝導解析や流体挙動を粒子の集合体で表現するSPH法、均一な直交形状の格子を空間に敷き詰めて気流を表現する格子ボルツマン法などの多彩な機能を持ちます。このため、粉体と流体が相互に影響しあう現象や、自由表面流れなどの流体のみの解析もAnsys Rockyのみで対応しています。SPH計算機能には液体表現に適した弱圧縮性の近似解法であったり、低速な流れ場の精度と計算速度を高める半陰解法に対応します。



粒子に作用する応力に基づいた破砕モデルや、粒子と壁面の衝突による摩耗・侵食モデルを利用できます。破砕後の粒子挙動や、壁面形状の変化を考慮した解析により、粉砕、摩耗、装置部材の損耗、形状変化が粒子流動に与える影響を評価できます。
