カルサイト(方解石)の複屈折と光吸収
本事例では、炭酸カルシウム単結晶であるカルサイトの複屈折と光吸収特性を、密度汎関数理論(DFT)に基づくSIESTAを用いて解析した。電場の偏波方向による屈折率の違いや、バンド構造に基づく光吸収の開始エネルギーを評価し、複屈折の起源と光学遷移の関係を明らかにした。
解析・利用例のポイント
- 屈折率の偏波方向への依存性の解析
- 光吸収エネルギー端の確認
- バンド構造と状態密度
屈折率の偏波方向への依存性の解析
偏波方向がX・Yでは炭酸イオンに平行であるため屈折率は一致するが、Z方向では垂直となり電気分極の応答が異なるため屈折率が変化することが分かる。

カルサイト屈折率のエネルギー依存性
光吸収エネルギー端の確認
バンド間遷移による光吸収が6eV付近から始まり、これはバンド構造におけるエネルギーギャップに対応している。

消衰係数のエネルギー依存性
バンド構造と状態密度
カルサイトのバンド構造と状態密度を示し、光吸収端に対応するギャップ構造が確認できる。

バンド構造と状態密度
解析内容の詳細