活性化エネルギーを用いたモンテカルロ判定によるエポキシ樹脂の架橋反応
本事例では、エポキシ樹脂の架橋反応を対象に、活性化エネルギーに基づくモンテカルロ法を用いて反応判定を行っています。主剤DGEBAと硬化剤44DDSを用い、全原子MD計算により架橋構造を作成しました。反応後の構造に対して伸長計算を行い、ヤング率を評価した結果、実験値と良好に一致する値が得られました。
解析・利用例のポイント
- VSOPによる架橋構造の作成と物性評価
- 第一原理による活性化エネルギーの評価に基づく
- 複雑な3次元構造のモデリング
VSOPによる架橋構造の作成と物性評価
図1では、SIESTAによるDFT計算を用いて、反応部位の活性化エネルギーを取得する様子が示されています。反応の発生は、反応距離と活性化エネルギーに基づくモンテカルロ法で判定されます。

図1 反応の様子(SIESTA)
第一原理による活性化エネルギーの評価に基づく
図2では、SIESTAによるDFT計算で得られた反応時の結合長の変化に対するエネルギーが示されています。これにより、活性化エネルギーを評価し反応MDのためのパラメータとして用いることができます。

図2 DFT計算(SIESTA)で得られた活性化エネルギー
複雑な3次元構造のモデリング
図3では、VSOPによる反応計算の様子が示されています。MD計算のステップが進むと架橋反応が起こり3次元的なネットワーク構造を持つ樹脂構造のモデルが構築されます。

図3 反応計算の様子(VSOP)