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CAE Technical Library 注目機能紹介 - CAE技術情報ライブラリ

2009.06.01

JSTAMP World:解析結果活用支援機能

カテゴリー
: 構造解析
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JSTAMP

CAE解析で得られた結果を参考にしながら、不具合発生箇所に対する対策検討を行うという設計スタイルは、不具合の原因を把握した上での対策が有効であるという観点から多いに普及してきました。また、車体の軽量化、衝突安全性を考慮した新材料の利用、コスト削減のための鍛造からプレスへの工法転換など、今までの経験だけでは予測が困難な成形条件への対応が必要になってきたという背景もあり、CAEによる予測と対策の活用は、ますます重要性を増してきています。

しかしながら、CAE解析結果をCAE解析担当者以外が積極的に有効活用し、対策検討に生かすための環境は、未だに十分とはいえない状況があります。どこでも、誰でもが解析結果を活用することができる環境を提供したい、しかも、そのためのコストは最小、かつCAE解析者の工数負担のかからない方法で実現したい、という現場担当者の思いを受けて、 プレス成形専用シミュレーションシステムJSTAMP/NV V2.3でリリースしたふたつの解析結果活用支援機能をご紹介いたします。

レポート自動作成機能

概要:レポート自動作成機能の使い方

JSTAMP/NVのレポート作成機能は、PowerPointの報告書を自動生成する機能です。この機能の利点は、解析結果画像をまとめてひとつの文書に貼り付ける手間をなくす効果だけなく、成形不具合対策の検討ために行う再解析後に、比較用レポートの作成を工数の負担なく作成できることです。 そのためCAE解析者は、対策検討レビューの資料準備に工数をかける必要がなくなるだけでなく、常に定型的な結果報告書を作成して将来の社内の共有資産として残していくことも容易になります。

具体的な利用方法はとても簡単です。1回目の解析後のレポート作成時に、レポーティングしたい画像を画面表示した状態で、[自動レポート出力画像登録]アイコン 、または "R"キー(shift+R)を押下するだけで、レポート出力画像が登録します。複数の画像を2アップ、4アップなど同じページに並べたり、ページタイトルを指定したりすることができます。これらの操作を行った後に、"レポート作成"ボタンを実行すると、登録されたすべての画像がひとつのPowerPointファイルにまとめて出力されます(図1)。

再解析時には、前回登録した情報を使って[レポート作成]を実行するだけで、異なる解析結果に対しても、同一の内容のレポートを作成することができます。

※レポート自動作成機能は、PowerPoint 2000以降に対応しています

図1 レポート自動作成機能の出力例 図1 レポート自動作成機能の出力例

特徴:領域指定の最大値や注記表示にも対応

JSTAMP/NV のレポート機能の特徴は、不具合発生箇所のトレース機能、注記一括作成機能です。

不具合発生箇所のトレース機能とは、あらかじめ登録された箇所と範囲内で、最大/最小コンター値を自動検索して表示する機能です。1回目の解析で発生した不具合箇所が、対策後にどのように改善されたかトレースするために、指定された範囲内で最大値を自動表示し、レポーティングすることができます。また、最大値が発生したステップの発生箇所に対して、それ以前の指定されたステップに遡ってコンター値を自動表示でき、不具合発生の要因分析や対策を行う際に大変便利です(図2)。この機能もまた、再解析結果にも適用できるようになっています(cf. 再解析支援機能については、こちらをご参照ください)。

図2 不具合発生箇所のトレース機能例 図2 不具合発生箇所のトレース機能例

任意のIDや座標位置でコンター値を表示する注記機能も、レポート作成機能から利用できるため、定型的な位置でのコンター値確認が非常に容易にできるようになりました。図3は格子状の座標値のExcelファイルをあらかじめ作成しておき、注記を一括作成させたレポート出力例です。

図3 注記一括作成機能例 図3 注記一括作成機能例

その他

形状評価オプションでは、距離コンター表示の他に、断面評価機能も自動レポートに対応しており、V2.3に搭載された断面端距離測定機能の活用により、スプリングバックの結果評価がさらに便利になりました(図4)。6月にリリースされるV2.3.1では、画像出力のJPEG対応も行い、PNG形式(V2.3)比でファイルサイズも1/10程度に縮小可能となります。

図4 スプリングバック距離評価機能例 図4 スプリングバック距離評価機能例

SmartPost (3D Plugin対応型ビューアー)

SmartPost の概要

JSTAMP/NV V2.3でリリースされたもうひとつの解析結果活用のための機能は、SmartPostファイル出力機能です(図5)。SmartPostは、ノルウェーCeetron社製の無償の3Dビューアー (GLview Express )をJSOL専用にカスタマイズしたものです。JSTAMP のPOSTで、SmartPost用の(Vtfx形式)ファイルを出力すれば、JSTAMPのライセンスのないPC上でも、簡単に解析結果を確認することができます。※SmartPostファイルの出力はJSTAMPの有償オプション機能でのご提供となっています。トライアルライセンスの発行を受け付けております。

SmartPostの特徴

SmartPostには、コンター表示のアニメーションやモデルの回転・ズーム操作などの一般的なビューアーの機能だけでなく、プレスシミュレーション向けの機能が追加されています。 コンター表示のoff機能があり、モデル色での表示ができますので、しわの確認をビューアー上で行うことができます。 また、ツール(パート)の表示/非表示の切り替えができ、コンター値確認や距離測定も行うことができます。今後の機能アップとして、断面表示対応も予定しています。

SmartPostのもうひとつの特徴は、PowerPointやInternet Explorer上の3D Plugin機能です。報告書の中に貼り付けられたSmartPostファイルに対して、アニメーションだけでなく、報告書のプレゼンテージョン中にモデルの回転やズームなどの操作を行うことができるという画期的なビューアーです。対策検討レビュー時の資料スライドの中で、モデルを動かしながら不具合発生箇所の検討を行うことや、論文発表のスライドの中で全体モデル表示をリアルに操作しながらズームしてプレゼンテーションすることなども可能となります。この3D Plugin機能は、PowerPointだけでなく、Internet Explorer上でも動作します。すでに社内Web上などでJPEGやaviファイルなどで解析結果の共有を行っている場合でも、SmartPostの利用により、さらにCAE解析結果の活用範囲を拡げることが可能となります。

図5 SmartPost の利用イメージ 図5 SmartPost の利用イメージ

おわりに

今回は、JSTAMP/NV V2.3でリリースした、解析結果を活用するための機能を紹介致しました。Ver2.3では他にも、スプリングバック見込みCAD面出力機能、自重たわみCAD面出力機能などのCADとの連携機能の強化や、新しい成形方法であるホットフォーミング(ホットスタンプ)のために熱/構造練成解析機能などもリリースしました。これらの機能については、「スプリングバック見込み形状生成支援機能」、「ホットスタンプ解析機能」に詳しく掲載しておりますのでそちらもご参考にしてください。

より高機能な材料開発と成形技術の進展は今後も休むことなく継続していくことでしょう。JSTAMP/NVはそのような最新の成形技術をいちはやく取り入れながら生産現場で真に役立つツールとして、ユーザーの皆様の声を反映しながら進化させ続けていきたいと思っています。

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