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LS-DYNA IGAに関する新たな取り組み

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Isogeometric Analysis(IGA)は、近年、Design(CAD)と Analysis(CAE)の親和性を高める解析手法の1つとして、種々の解析分野への適用が期待されています。今回は、LSTがさらなるブラッシュアップを行っているLS-DYNA IGAの新たな取り組みについてご紹介いたします。

これまで、LS-DYNA IGAは、FEMのジオメトリのインプット体系と同様、ELEMENTおよびNODEに基づく入力仕様を採用していました。しかし、近年LST社では、New Keywords (*IGA)と呼ばれる、新しいインプットの体系の確立に向けて、開発を推進しています。

今回は、このLS-DYNA IGAのNew Keywords (*IGA)についてご紹介いたします。

New Keywords (*IGA)とは

New Keywords (*IGA)は、LST社、DYNAmore社と欧州の自動車会社の共同研究に端を発して開発された、新しいインプット体系です。CADシステムに採用されているBREPと呼ばれるデータ構造と同じ構造を有するこのインプット体系には、ジオメトリだけでなくトポロジー情報も含まれ、従来のKeywordsの概念とは全く異なる入力仕様となっています。LST社はこのNew Keywords (*IGA)を将来の標準インプット体系とするべく、現在も機能開発およびブラッシュアップを推進しています。

既に開発版のドラフトマニュアルに、*IGAカードとして記載されています。Figure 1に示すように、ジオメトリ/トポロジー定義、要素の概念を導入するためのKeyword群と、要素定式化の定義や解析条件設定のための関連Keyword群に大別されます。

Figure 1. New Keywords (*IGA)の一覧(ドラフトマニュアルより)Figure 1. New Keywords (*IGA)の一覧(ドラフトマニュアルより)

従来のKeywordsとNew Keywords(*IGA)の違い

上述の通り、従来のKeywordsでは、ELEMENTやNODEといったFEMに類似した単位でジオメトリがモデル化されていました。しかし、New Keywords(*IGA)では、CADシステムが認識しているデータ単位でトポロジーとジオメトリが定義されます。

Figure 2. 従来のKeywordsとNew Keywords(*IGA)のデータ構造の比較Figure 2. 従来のKeywordsとNew Keywords(*IGA)のデータ構造の比較

Figure2は、従来のKeywordsと、New Keywords(*IGA)のデータ構造の比較です。従来のKeywordsでは、CADからのデータ変換の際にトポロジー情報が省略され、SurfaceやCurveといったジオメトリの単位でモデルが表現されます。一方、New Keywords (*IGA)ではCADシステム上で定義された複数のトポロジー情報とジオメトリ情報の双方でモデルが構成されています。これにより、CADデータと解析データの相互変換が事実上可能になります。

New Keywords(*IGA)における重要な機能

New Keywords(*IGA)の登場により、CADのデータ構造を保持することが可能となりました。しかし、実際に解析をするには、ソルバー側で対処しなくてはならない点があります。通常、CADデータは複数のSurfaceで構成され、各々Type3と呼ばれる外形線と内形線がトリミングで表現されたSurfaceとしてモデル化されています(Figure 3)。つまり、Control points/Knotが、接合位置において連続的ではないため、これらSurface群をソルバー側で結合する機能が必要となります。これが、Edge TIED機能です。

Figure 3. Edge TIEDによる結合のイメージFigure 3. Edge TIEDによる結合のイメージ

LST社、DYNAmore社は、*IGA_TIED_EDGE_TO_EDGEと呼ばれるEdge TIEDの機能を開発し、現在も機能のブラッシュアップを続けています。本機能の可用性向上により、将来的にはオリジナルのCADデータに対する簡易的な解析の実現も期待されます。

New Keywords(*IGA)への期待

従来Keywordsを用いたIGAでは、オリジナルのCADを出発点とし、IGA Toolを用いてCADのヒーリングを行ってType3のような1 Patchに変換、最後にKnot/control pointの配置調整を行うことでLS-DYNAのkeyファイルとして形状データを出力する必要がありました。これに対して、New Keywords (*IGA)への変換が実現しますと、オリジナルのCADデータを読み込み、狭小なPatchの削除と不備のある形状の修正、Knot/control Pointの配置調整を経て、1 patchに変換することなく、プリプロセスに移行することが可能になります。
ベースの形状をあらかじめヒーリング/クリーンナップしておき、今後Parametricに形状を変更するようなツールと組み合わせることができれば、CADのデータ構造を保持したまま、柔軟に形状を変更しながらシームレスに解析を実施することも期待されます。

Figure 4. 従来KeywordsとNew Keywordsの変換フローFigure 4. 従来KeywordsとNew Keywordsの変換フロー

現在、JSOLでは、LST社と協力し、このNew Keywords (*IGA)のソルバー側のブラッシュアップを実施しています。また、ELYSIUM社、ARUP社とも協力し、ヒーリング/変換を担うモデラ―(IGA Tool)および、プリプロセッサ―(ARUP PRIMER)への対応も検討しています。IGA ToolへのNew Keywords (*IGA)へ変換機能の実装は、次期リリースバージョンを予定しています。

LS-DYNA IGAならびにIGA Tool に関するお問い合わせ、および、IGA Type1~3の特長に関する資料をご希望の際は、こちらからお問い合わせください。

Isogeometric Analysis(IGA)は、近年、Design(CAD)と Analysis(CAE)の親和性を高める解析手法の1つとして、注目を浴びています。メッシュ生成による離散化を必要とせず、CADの形状表現で用いられるNURBSとよばれる高次関数を近似の形状関数としてそのまま使用するため、メッシュ生成工数の削減に加え、より高精度な解を導出するスキームとして、種々の解析分野への適用が期待されています。

IGAでは、FEMのメッシングにかわり、複雑な形状の CAD を IGA に適したデータに効率的に変換するフェーズが必要となります。この変換を担うソフトウエアである「IGA Tool」の役割や基本的な機能について、過去のCAE 技術情報ライブラリにてご紹介しています。

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