橘サイバー研究所
Vol.14

大阪湾の地図を眺めていたら

2009.07.15
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著者プロフィール
橘 英三郎
  • 大阪大学名誉教授 建築工学

「思いっきり大きな話を書いてくれませんか?たぶん先生ならOKしてくれそうなので・・・」

後輩のS氏からの電話だ。笑いを含んだトーンに若干の抵抗はあった。がしかしすぐに引き受けた。元来、私は重厚、慎重、沈着冷静とはまったく無縁だからだ。

さてその大きい話であるが、大阪湾の地図をしみじみと眺めていただきたい。海岸線はきれいな楕円だ。輪郭の欠けた部分を淡路島がみごとに補間している。そしてその周りは活断層群に囲まれている(図1参照)。これら活断層の内、中央構造線の西への移動が上辺の有馬高槻構造線の西への移動より早いとされている[1]

[図1] 活断層に囲まれた大阪湾
[図1] 活断層に囲まれた大阪湾

ここからは眉につばをつけて聞いていただきたい。今、その速さの違いを年に0.5mmと仮定しよう。すると6500万年前なら32.5kmのずれとなる。ならばその時まで時間を後戻ししてみると、大阪湾は、みごとな円に戻る(図2参照)。

[図2] 6500万年前の推定大阪湾
[図2] 6500万年前の推定大阪湾

ところでなぜ0.5mmかというと、恐竜が突然に絶滅した時代に無理やり合わせたからだ。ご存じのように、絶滅の原因として隕石衝突説が有力であるとされている[2]。だとすると、大阪湾はクレーターで、六甲山、信貴・生駒、金剛の山々はその外輪山ではなかろうか?との思いにいたる。そして、大阪平野の地下深く眠る上町断層などは、衝突時の岩盤のパンチングシェアーにより生じたものではなかろうか?

これで材料力学的にはそこそこ大きい話となった。

ところで、このあやしげな仮説における「年に0.5mmのずれ」は全くのでっちあげとも言えない。造山活動は年に0.5mm内外とされている[3]ので、移動の速い遅いで0.5mm±0.25mmなら十分に考えられる範囲内だ。ともかく大阪湾の楕円は不自然に美しすぎる。

この仮説は将来に脚光を浴びるかもしれないとのさもしい根性で、投稿誌[4]に英語の副題をお願いしたが丁重に断られた。

参考文献
  1. 藤田和夫「変動する日本列島」岩波新書、p.203
  2. マーク・A・ノエル他「恐竜の博物館」青土社、pp.133-147
  3. 文献[1]のp.195
  4. 橘英三郎「大阪湾隕石落下説?」コンクリート工学、Vol.36,No.6,1998, p.15
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