第一原理電子状態計算ソフトウェア

ASAP

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シリコン表面酸化反応の原子レベル解析

機械学習ポテンシャルを用いた分子動力学(MD)計算により、シリコン表面における酸素分子の吸着・解離とSi–O結合形成を追跡した事例です。原子配置とSi周囲の酸素配位数を解析し、酸化層形成の初期過程および深さ方向の組成変化を可視化しました。固定された結合を前提とする一般的な古典力場では表現しにくい反応を含む系に対し、反応経路の仮説構築や追加の第一原理(DFT)計算の候補抽出への活用可能性を示します。
解析・利用例のポイント
  • 酸化反応を原子レベルで可視化
  • 酸化膜形成機構を効率的に解析
  • 半導体プロセス設計に活用可能

酸化反応初期過程の可視化

シリコン表面近傍に酸素分子を配置し、機械学習ポテンシャルを用いたMD計算によって各原子の時間発展を追跡しました。図は0.3、0.6、0.9、1.2 psにおけるスナップショットであり、酸素分子が表面へ接近・吸着した後、O–O結合が解離し、Si周囲の局所配位が変化していく様子を示しています。固定された結合トポロジーを前提とする一般的な古典力場とは異なり、Si–O結合の生成やO–O結合の切断に対応する原子配置変化を連続的に追跡できます。これにより、酸化層形成のごく初期に生じ得る反応経路や局所構造変化を検討し、詳細なDFT計算や追加シミュレーションで確認すべき構造を抽出できます。ただし、1本のMDトラジェクトリから一般的な反応機構や反応速度を確定するものではありません。

シリコン表面上での酸素吸着・解離およびSi–O結合形成の様子(t=0.3, 0.6, 0.9, 1.2 psのスナップショット)

シリコン表面上での酸素吸着・解離およびSi–O結合形成の様子(t=0.3, 0.6, 0.9, 1.2 psのスナップショット)

酸化膜形成と界面構造解析

各Si原子の周囲に存在するO原子数を所定の距離カットオフで数え、Si–O配位数ごとの割合を深さ方向に集計しました。Si–O配位数0〜4は、Si/SiO₂界面解析で用いられるSi⁰〜Si⁴⁺の便宜的な形式酸化状態に対応しますが、配位数に基づく分類であり、実電荷を計算したものではありません。5配位のSiが検出された場合は、「Si⁵⁺」ではなく「5配位Si(過配位構造)」として区別して表示します。あわせてSiとOの数密度および酸化領域の判定指標を表示することで、酸素が多い領域、未酸化Siが主体の領域、その間の遷移領域を原子スケールで比較できます。界面位置や酸化層厚さを定量化する場合は、距離カットオフ、深さ方向のビン幅、酸化領域の判定基準を明記し、系サイズや熱揺らぎに対する感度も確認する必要があります。

Si酸化状態(配位数、密度、酸化膜領域)の解析

プロセス開発への適用可能性

本解析は、反応経路の候補探索、酸化に伴う局所配位の変化、界面欠陥につながり得る構造の抽出、追加DFT計算の初期構造選定などに利用できます。また、結果の信頼性は機械学習ポテンシャルの学習範囲に依存するため、吸着構造、反応エネルギー、Si/SiO₂局所構造などについてDFT参照値との比較が必要です。温度、酸素供給条件、表面方位などを変えた複数計算と検証を重ねることで、プロセス検討に向けた仮説構築を支援できます。乾式・湿式酸化やSiC酸化への展開も期待できます。

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