新たな生活様式にシフトしている昨今では、在宅ワークに適した家づくりが求められています。家中どこでも快適にWiFiをつなげるには、どう設計すればいい? WiFiルータをどこに置くべきか?
そんな疑問に応えるため、JSOLでは、電磁界ソフトウェアEMCoS Studioを用いて、仮の戸建てモデルを作り、WiFiルータからの電波伝搬をシミュレーションしました。
左:1階の電界強度 右:2階の電界強度
この図は、重量鉄骨を骨組みとし、片筋交いの鉄筋の耐力壁で覆われた2階建て家屋を想定したモデルです。EMCoS Studioはモーメント法を基本のソルバーとする電磁界シミュレータであり、モーメント法の最大の利点は空気領域の計算負荷がないことです。このような巨大な構造物のモデルでも、電波を反射しない木材などは空気と同一視できるため、モーメント法の利点を活かせます。そのほか、EMCoS Studioに備わるさまざまな計算高速化の機能を駆使することで、パソコン1台で1日とかからずに計算することができます。
電界強度の計算結果をご覧ください。1階では電界が一様に減衰していくのに対して、2階では途中で弱くなっていることがわかります。このモデルでは、1階の奥にWiFiルータモデルを配置したため、この領域は鉄骨の陰になっています。このように、電波の強弱が一目瞭然でわかりますので、たとえば、戸建ての設計段階で、
・WiFiルータの適切な配置を検討する
・電波が届きやすく、テレワークに適した領域を、書斎やダイニングなどにする
などの対策を講じることができます。
このモデルを作成するために必要なものは、鉄骨と鉄筋のCADデータ、建材となる鉄の材料特性、そしてEMCoS Studioのみです。CADデータをEMCoS Studioにインポートし、鉄の材料特性を適用すれば建物のモデルが完成します。あとは、アンテナを配置するだけで、建物内のWiFiの電波強度が一目でわかります。
シンプルなステップで完結するため、電磁界シミュレーションの初心者の方にも気軽にお試しいただけます。ご興味のある方は、ぜひこちらからお問い合わせください。
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