- 大阪大学名誉教授 建築工学
「うそー。しんじられなーい。建物が豆腐より弱いなんて。」
しかし少なくとも設計段階では事実である。一般に建物は自重の20%の水平力がかかっても弾性域に留まるように設計されている。ということは・・それ以上かかった場合は、塑性域にはいってひびだらけになっても良いということである。
もちろん、どのような地震でも弾性域にとどまるように設計すればそれに越したことはない。しかし千年に1度あるかないかの巨大地震のために、膨大な費用をかけて丈夫にする必要は・・・?という経済的判断もあり、水平力は重力の20%まで弾性域にあれば良いとなっている。20%というと加速度でいうなら約200ガル(cm/sec2)に相当する。震度でいうなら卓越周期を1秒前後と想定して震度6弱である。
ところで重力の20%を簡単に理解するには、建物を傾けることをイメージすれば良い。たとえば90度傾けると、建物は横になり、建物の横方向に重力の100%が加わることになる。
じゃー、重力の20%なら何度傾ければよいのであろうか?
約10度くらいである。つまり設計上は約10度ほど傾くとひびがはいり始め塑性域にはいることになる。
一方、豆腐を10度かたむけるとひびがはいるだろうか?
もめんであろうが絹ごしであろうが、なんともない。再び水平に戻すと、豆腐は元どうりになる。
ということは、建物は豆腐よりも弱いということになる。よくもまあ、こんな建物の中で日々安心して過ごしていられるものだ。
ただし、これには話の飛躍があり、それほど心配することもない。豆腐を建物の部屋に相当するような空洞をいっぱい空けると自重でさえ持たない。それに「設計段階では」とか「設計上は」とかことわっていたのに気付かれたであろうか。構造設計において建物の間仕切壁や袖壁などモデル化がめんどうな部位は無視されるが、これらが地震時に意外と頑張る。したがって実際の強度は設計耐力以上となる。もっとも偽装がなければのはなしであるが。
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