著者プロフィール
橘 英三郎
- 大阪大学名誉教授 建築工学
研究室のガスストーブでするめを焼きながらの雑談時に「こんなの面白そう・・」と将棋敵のD2の先輩が一冊の洋書を持って入ってきた。
「何? ファイナイト・エレメント・メソッド?」ぱらぱらとめくると何か三角形の図が書かれている。
「ようはわからんけど物体は三角形要素や四角形要素の寄せ集めと仮想して解析する」とその先輩は言う。しかし「各要素の頂点」に「節点力」を考えてそこだけの釣り合いで解く、というところにひっかかった。
節点に応力が集中して、すぐ壊れるではないか。弾性論を勉強していれば当然の疑問だ。
ところで、当時はH型鋼の柱と梁の接合部の挙動が問題となっていたので、それを解析したところ、いいかげんにメッシュ分割したのに変形は意外や意外よく合っている!この意外性には「カラクリ」が含まれているに違いないと思った。
しかし、・・要素内に変形関数を仮定して、ひずみ、さらにはひずみエネルギーを3頂点の変位で表し、節点力のなす仮想仕事が内部の仮想ひずみのなすエネルギーに等しい、と置くことにより要素の頂点での力と変形の関係に持ち込む・・ウーン、騙されているようである。
いったい、要素間の各辺に生じている不釣り合い力による誤差はどうしてくれるのだ。まー合っているのだから、と、しばらくそのことは忘れていた。
ところがあるきっかけで、有限要素法に含まれている巧みな「カラクリ」が「節点力」を求めるところに潜んでいることが分かり1972年に発表した(脚注)。
変分原理やRitz法などで説明されていた当時の解釈とは異なる立場からのもので、それは論文集の2番目に載せられ、三菱重工の藤野勉顧問、山本善之東大教授の論文がそれに続くといったちょっぴり晴れがましいものであった。
1989年バルセロナでの会議にて
右は当時M2の山田君(現琉球大学教授)
脚注
- 橘英三郎,"有限要素法とSaint-Venantの原理との関連性に関する一考察",マトリックス構造解析法研究発表論文集,日本鋼構造協会,1973,pp.11-18
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