ガラス状態ポリマーの一軸伸長とクレーズ形成
粗視化分子動力学(Coarse-Grained MD)を用いて、アモルファスポリマーの一軸伸長時における破壊挙動をシミュレーションしました。分子量の異なる2系統でボイドの発生やフィブリル形成の様子を比較し、応力-ひずみ線図から降伏後の応力挙動の違いを評価しました。粗視化MDの一つであるKremer-Grestモデルを用いた計算により、分子量の影響を明確に示しました。
解析・利用例のポイント
- クレーズ形成の挙動評価
- 分子量による挙動の違いを評価
- Kremer-Grestモデルの適用による普遍的な挙動を評価
変形時のクレーズ成長
粗視化MDの一つであるKremer-Grestモデルを用いて、アモルファス状態のポリマー材料のクレーズ成長を評価しました。粗視化モデルにおける分子量(ポリマー鎖の長さ)はN=128としました。ボイドの発生とフィブリル形成の初期段階が確認でき、破壊挙動の始まりを示しています。
クレーズ成長(N=128)
ポリマーの分子量を大きくした際クレーズ成長
次に、分子量N=512のポリマー鎖におけるクレーズ成長のスナップショットを示します。フィブリルの形成が進行し、より複雑な構造が見られます。分子量の違いによる構造形成の違いが明確に示されています。
クレーズ成長(N=512)
応力-ひずみ特性
N=128のケースでは降伏後に応力が低下しますが、N=512のケースではフィブリル形成後に応力が上昇する傾向が見られています。分子量の違いが力学的応答に与える影響を定性的に評価することが出来ました。
応力-ひずみ曲線

