はじめに
今日、企業における SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが重要視されています。JSOL も「技術による貢献」として 10 の具体的なサービス・ソリューションをご紹介しています。
本記事では、上記「技術による貢献」の“自動車の安全設計に貢献する「衝突・乗員安全解析」”を支えるAnsys LS-DYNAのソリューションについて、SDGs が掲げる 17 のゴールに沿ってご紹介します。
SDGs に貢献する Ansys LS-DYNA
複雑な実現象をコンピュータ上で再現する CAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーションは、メカニズムの分析、具体的な製造物の課題解決や性能向上の検討に欠かせない存在になっています。 表1に SDGs の 5つのゴールに対して、活用していただきたいソリューションを示し、次項で具体的な事例をご紹介します。
| SDGs のゴール | Ansys LS-DYNA が担うソリューション |
| 3. すべての人に健康と福祉を | ヘルスケア、騒音対策 |
|
7. エネルギーをみんなに。 そしてクリーンに |
省エネ、クリーンエネルギー |
| 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう | 複雑な物理現象の見える化 |
| 12. つくる責任、つかう責任 | 廃棄物削減 |
| 13. 気候変動に具体的な対策を | 脱炭素、災害対策 |
エネルギーソリューション
バッテリーの信頼性向上
化石燃料への依存度を下げるための取り組みとして、電動化があらゆる製品で進んでいます。電動化の中心となる課題は、バッテリーの信頼性向上による故障の低減やバッテリー故障時の二酸化炭素排出量の削減です。Ansys LS-DYNA のマルチフィジックスシミュレーションを用いて、バッテリーの性能向上や信頼性の向上を検討することができます。
高性能なバッテリー開発を可能にすることで、電動化、クリーンエネルギーの推進に貢献します。
- 「BatMac: A Battery Macro Model to Simulate a Full Battery in an Electric or Hybrid Car Crash」, DYNAlook, https://www.dynalook.com/conferences/12th-european-ls-dyna-conference-2019/eletric-vehicle/leplattenier_lstc.pdf/view
ソーラーパネルの信頼性・耐久性向上
太陽光発電を化石燃料の代替エネルギーとして信頼できる選択肢とするためには、ソーラーパネルの信頼性・耐久性の向上が不可欠です。
Ansys LS-DYNA の Peridynamics 解析や ALE 解析を用いて、ひょうなどがソーラーパネルに落下衝突した際の、損傷による信頼性評価や耐久性の向上を検討することができます。
過酷な環境に耐えられるソーラーパネルの開発を可能にすることで、化石燃料に対抗できる費用対効果を持つ太陽光発電の推進に貢献します。
- D’Angola, A., et. al., “Theoretical and Numerical Study of a Photovoltaic System with Active Fluid Cooling by a Fully-Coupled 3D Thermal and Electric Model,” Energies, 2020, 13, 852. Hasan, O., et. al., “Finite Element Modeling and Analysis of Photovoltaic Modules,” Proceedings of IMECE12, Nov. 2012.
エネルギーの節約と摩損の削減
エネルギーの節約には摩擦の削減が欠かせません。農業機械や建設機械では特に重要になってきます。
耕うん刃の角度を最適化することで、土壌の抵抗力を低減することができます。この検討により、実機試験を用いた試行錯誤を行うことなく、耕うん刃の摩耗の低減や耕うん作業時の電力消費量の削減を実現します。
Ansys LS-DYNA は、農業機械や建設機械における電力の節約検討や摩損の削減検討にも有効です。
- Simulation of Agricultural Soil Tillage Machine using DEM, DYNAlook, https://www.dynalook.com/conferences/11th-european-ls-dyna-conference/particles-metthods-sph-and-dem/simulation-of-agricultural-soil-tillage-machine-using-dem/view
材料選定ソリューション
形状・材料の最適化
パッケージの二酸化炭素排出量の削減要求は、製薬/栄養/化粧品産業においても例外ではありません。そのため、さまざまなゲルや流体でのパウチ充填の歩留まり改善が必要とされています。
Ansys LS-DYNA の流体-構造連成シミュレーションを用いて、パウチ形状・材料の最適化を検討することができます。
留まりの高い充填プロセスのエネルギー効率向上も期待できるほか、リサイクル不能なプラスチック廃棄物の削減にも貢献します。
脱炭素ソリューション
パイプラインの完全性評価
脱炭素社会に向けて、エネルギー資源の大きな役割を担うパイプラインの完全性に対する要求は、ますます大きくなっています。単に、パイプラインの安全性規定を満たすだけでなく、予定された保守や検査のために、パイプラインのシャットダウンと再開の安全性を確保することは重要です。腐食や亀裂などによる予定外の事象が起こった場合の安全性を確保することも必要になります。
Ansys LS-DYNA は、パイプ厚みを最小限に抑えて材料を節約しながら、温度および圧力の要件を満たし、規定への準拠を確認することが可能です。
保守や検査のための安全性を確保することでパイプライン運用の経済性を改善するほか、不測の事態を想定した安全設計によって、炭酸水素の突発的な放出からの環境保護に貢献します。
環境および人の幸福のためのソリューション
地すべりとデブリの管理
地すべりの対策を検討することで、地すべりの影響を緩和して環境被害を低減、効率的に管理することが可能になります。
Ansys LS-DYNA の ALE による流体-構造連成シミュレーションは、デブリと防護壁に対する影響を評価することが可能です。
デブリの捕獲を検討する際には、デブリの速度や大きさの構成を変化させた評価もできるので、地すべりによる生命と財産の危険の低減とともに、地域や住民の方々への安心・安全の提供に貢献します。
- Numerical Investigation of Landslide Mobility and Debris-Resistant Flexible Barrier with LS-DYNA®, DYNAlook, https://www.dynalook.com/conferences/13th-international-ls-dyna-conference/simulation/numerical-investigation-of-landslide-mobility-and-debris-resistant-flexible-barrier-with-ls-dyna-r/view
おわりに
本記事では、SDGsへの取り組みに貢献する Ansys LS-DYNA シミュレーションの活用事例をご紹介しました。
エネルギー、材料選定、炭酸水素の放出、環境および人の幸福といった幅広い SDGs のゴールに対して、Ansys LS-DYNA は課題解決の推進に貢献します。
本記事でご紹介したような SDGs への取り組みにご興味のお持ちの方は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
あわせて読みたい
この記事の関連情報
技術ブログカテゴリ
新着記事
- マテリアルズ・インフォマティクス(MI)とは?
AI×シミュレーションで加速する次世代材料開発 - リアルワールドの自動車衝突安全に向けて(2)~ISOレーティング~
- 分子シミュレーションで設計するプラスチックリサイクル
- 形状設計フェーズでの組み立て精度向上によるコスト削減
~ 組み立てCE検討ツールのご紹介 ~ - JSOLが考える「溶接シミュレーションと工場デジタルツインが実現する工程設計」について講演しました
- リアルワールドの自動車衝突安全に向けて
- 機械学習で加速する材料シミュレーション技術
- ノウハウ不要!樹脂の複雑な材料特性を簡単にフィッティング 〜 材料同定ツールと高精度ユーザーサブルーチンの活用事例 〜
- 樹脂材やゴム材の高精度予測に向けたパラメータ同定
- データ活用からナレッジ活用へ ~ モードによる評価と履歴データの活用 ~(後編)
