熱硬化性樹脂の架橋構造
粗視化分子動力学(Coarse-Grained MD)を用いて、エポキシモノマーと硬化剤の架橋反応による三次元ネットワーク構造を生成しました。反応後に全原子モデルへリバースマッピングし、密度変化などの物性を評価しました。COGNACモデラーを用いて粗視化ポテンシャルを決定し、反応計算を実施しました。
解析・利用例のポイント
- 粗視化モデルによる熱硬化性樹脂の架橋構造の生成と評価
- リバースマッピングにより全原子モデルの構造を構築
- 架橋構造の物性を評価
粗視化モデルによるエポキシ樹脂の架橋
粗視化モデルによるエポキシ樹脂の架橋反応の様子を示します。反応途中の状態と、反応が進行して全モノマーがつながった状態を比較して表示しています。

粗視化モデルによるエポキシ樹脂の架橋
密度変化の評価
反応前のモノマーと硬化剤の混合系の密度は0.91 [g/cm³]で、架橋構造の形成、反応後には1.28 [g/cm³]に上昇しました。この後、J-OCTAのモデリング機能を用いることで、粗視化MDの結果を用いて全原子モデルの分子構造を構築することが可能です(リバースマッピング)。粗視化モデルと組み合わせることで、長時間の分子の振る舞いを考慮した初期構造構築が可能です。

架橋による密度の上昇
参考文献
- P. V. Komarov, C.Yu-Tsung, C. Shih-Ming, P. G. Khalatur and P. Reineker, Macromolecules, 40, 8104, (2007)
解析内容の詳細