QSPRによる物性値の推算
定量的構造物性相関(QSPR)を用いて、アモルファス状態のポリマーの物性値を、分子構造から予測しました。J-OCTAのMI-Suiteに実装されているQSPR機能は機械学習モデルだけではありません。9種類の原子から構成されるポリマーに対応し、Bicerano法に基づく回帰式を用いて密度、熱容量、比誘電率、ガラス転移温度などを推算して、実験値との良好な相関を確認しました。
解析・利用例のポイント
- 分子構造から物性値を推算
- 実験値との良好な相関
- 多様な物性に対応
評価対象のポリマー構造
評価対象となった5種類のポリマーの分子構造です。各ポリマーは大きく異なる構造を持ち、物性推算の対象として選定されました。この手法では分子量や分岐鎖の情報は入らず、分子量依存性が無くなるくらい高分子量のポリマーが対象となります。

5種類のポリマーのモノマー構造
密度の評価
室温における各ポリマーの密度をQSPRで推算し、実験値と比較しました。推算値は実験値と良好な一致を示し、モデルの信頼性を裏付けるものとなっています。

密度(室温)
定圧熱容量(室温)
室温における定圧熱容量の、推算結果と実験値の比較です。QSPRによる予測は実験値と高い相関を示しています。

定圧熱容量(室温)
参考文献
- Jozef Bicerano PREDICTION OF POLYMER PROPERTIES 3rd Ed Marcel Dekker 2002
- PolyInfo http://polymer.nims.go.jp/
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