機械学習QSPR
J-OCTAのMI-Suiteには、分子構造と物性値の関係を機械学習により予測する「構造物性相関(QSPR)」機能が搭載されています。SMILES記法で記述された分子構造から記述子を抽出し、グラフ畳み込みニューラルネットワーク(GCN)などの手法を用いて、密度、ガラス転移温度、誘電率などの物性値を予測します。これらはすべてPythonスクリプトで操作でき、モデリングからデータ生成、学習、予測まで一貫して実行できます。また、学習済みモデルに加え、ユーザーが自身の物性データを用いて独自のQSPRモデルを構築することも可能です。これにより、目的に応じた柔軟な物性予測が可能となり、材料開発の効率化に貢献します。
解析・利用例のポイント
- 深層学習を用いた構造物性相関
- 分子構造情情報(SMILES)を入力とした予測モデルを構築
- 機械学習による汎化性能の向上
深層学習を用いた構造物性相関
J-OCTAのモデリングAPIを用いて分子モデリングから物性予測までを自動化する流れが示されています。Pythonスクリプトによる操作で大量のデータを効率的に生成できることが特徴です。

モデリングAPIによる分子モデリングと物性予測の自動化
分子構造情情報(SMILES)を入力とした予測モデルを構築
機械学習QSPRの概念と構造物性相関の学習モデルが示されています。分子記述子を用いて物性値を予測する手法で、ニューラルネットワークによる学習が行われています。

機械学習QSPRによる構造物性相関モデルの構築
機械学習による汎化性能の向上
非晶性高分子の密度予測結果が示されています。左が機械学習QSPR、右が従来のBicerano法による予測で、機械学習の方が実験値との相関が高いことが分かります。

機械学習QSPRと従来QSPR(Bicerano法)の密度予測結果の比較