高分子-固体界面の摩擦
アモルファスのポリエチレン(PE)とグラファイト壁とのミクロな摩擦現象を全原子分子動力学(Full-Atomistic MD)により解析しました。J-OCTAのモデリング機能で作成した界面モデルを用い、壁を一定速度で移動させた際の界面応力を評価しました。水平・垂直方向の応力からミクロスケールでの摩擦係数を算出しました。
解析・利用例のポイント
- 樹脂のミクロな摩擦現象を評価
- ミクロスケールでの摩擦係数の評価
- 材料設計への活用
界面モデルの構築
ポリエチレンとグラファイト壁の界面モデルを示します。炭素を白、水素を青で描画し、X・Y方向は周期境界、Z方向は反射境界を設定しました。温度100Kでガラス状態のPEを表現しました。

ポリエチレンとグラファイト壁の界面モデル
応力の時間変化
壁表面における界面に水平方向の応力の時間変化を示します。壁の移動方向に対して反対方向の応力を正とし、平均値を点線で表示しています。ここからミクロスケールでの摩擦係数の算出が可能です。マクロスケールの摩擦現象とは直接的には比較できないことが多いため注意が必要ですが、材料設計への活用が期待できます。

壁表面における界面応力の時間変化
参考文献
- A. P. Awasthi, D. C. Langoudas and D. C. Hammerand, Modelling Simul. Mater. Sci. Eng. 17 (2009) 015002
解析内容の詳細