ナノトライボロジー(アブレシブ摩耗、ナノ加工)
ナノスケールでの摩耗や加工現象(ナノトライボロジー)を対象に、全原子分子動力学(Full-Atomistic MD)を用いた解析例です。本事例では、サファイア(アルミナ単結晶)を鉄表面に押し付けて削る「アブレシブ摩耗」のプロセスを再現し、鉄内部にはEAMポテンシャル、鉄とサファイア間には第一原理計算に基づくポテンシャルを使用しています。解析により、鉄表面に削れ跡が形成される様子が可視化され、ナノ加工やCMP(化学機械研磨)などの分野への応用が期待されます。
解析・利用例のポイント
- 全原子MDを用いたナノスケールの摩擦・摩耗・加工
全原子MDを用いたナノスケールの摩擦・摩耗・加工
サファイアが鉄表面に押し付けられ、ナノスケールで削り取っていく様子を示しています。左は初期段階、右は摩耗が進行した中間段階で、鉄表面に明確な削れ跡が形成されていることがわかります。

サファイアによる鉄表面のナノスケールでの研削プロセス(左:初期段階、右:中間段階)
参考文献
- J. Molecular Liquids 335, 116154, (2021)
- Applied Surface Sci., 509, 144676, (2020)
- Applied Surface Sci., 616, 156549, (2023)
- アンサンブル, 17, 7, (2015)
- 材料設計に分子シミュレーションを用いる際に知っておいてほしいこと
解析内容の詳細