フィラー充填ゴムの繰り返し伸長[横浜ゴム株式会社様]
タイヤなどで用いられるフィラー充填ゴムの分散構造と力学特性の関係を評価するため、VSOPを用いた粗視化分子動力学(Coarse-Grained MD)計算を実施しました。分散構造と凝集構造を比較し、繰り返し伸長時の応力応答やヒステリシス現象を解析しました。フィラー間のポリマー状態が応力軟化に影響することが示され、材料設計への示唆が得られました。
解析・利用例のポイント
- フィラー充填ゴムの分散構造と力学特性の関係
- 応力-ひずみ曲線の詳細な分析
- ヒステリシスの起源を解析
フィラー充填ゴムの分散構造と力学特性の関係
VSOPの粗視化分子動力学(Kremer-Grestモデル)を用いて、分散構造と凝集構造を有するシリカフィラー充填ゴムのモデルを構築しました。この後、繰り返し引張・除荷時の力学応答を解析します。

計算モデル(左:分散、右:凝集)
応力-ひずみ曲線の詳細な分析
1サイクル目と2サイクル目の応力-ひずみ曲線(Stress-Strainカーブ)が示されており、フィラーの分布がマクロな力学応答に影響を与えていることが分かります。

【結果】Stress-Strainカーブ
ヒステリシスの起源を解析
引張・除荷時のフィラー間のポリマー鎖が示されています。1回目の引張時にフィラー間をつないでいるポリマーが引き出されて、除荷後の2回目の引張時に応力軟化を生じさせる原因となる様子が視覚的に確認できます。

フィラー間のポリマー鎖(代表的なものを抽出)