スラリー塗工プロセス[トヨタ自動車株式会社様]
燃料電池やリチウムイオン電池の性能向上を目的に、電極作製時のスラリー塗工プロセスを解析しました。VSOPを用いた粗視化分子動力学により溶媒蒸発後の多孔質構造を再現し、Muffinを用いた有限差分計算により拡散性・伝導性を評価しました。一連の解析により、ポリマー吸着性能の制御による多孔質構造の最適化が電池性能向上に重要であることが示されました。
解析・利用例のポイント
- 電池電極のスラリー塗工プロセス中の現象をVSOPを用いて解析
- 溶媒蒸発に伴う多孔質構造
- 作成された構造に基づく特性のシミュレーション
電池電極のスラリー塗工プロセス中の現象をVSOPを用いて解析
VSOPを用いてスラリー中の溶媒蒸発プロセスをシミュレーションした結果が示されています。蒸発に伴い粒子やポリマーの配置が変化し、最終的な構造形成に影響を与えます。

溶媒蒸発プロセスの解析(VSOP)
溶媒蒸発に伴う多孔質構造
蒸発後に形成された多孔質構造が示されています。粒子・ポリマー・空隙の分布が視覚的に確認でき、電池電極の構造設計に有用な情報を提供します。

【結果】溶媒蒸発プロセス(VSOP)
作成された構造に基づく特性のシミュレーション
Muffinを用いて多孔質構造の拡散性・伝導性を評価した結果が示されています。ポリマーの体積分率や吸着性能の違いによる影響が比較されています。

【結果】多孔質構造の拡散性能/伝導性能(Muffin)(左)ポリマー体積分率の影響、(右)吸着性能の影響
This research used computational resources of the K computer provided by the RIKEN Advanced Institute for Computational Science through the HPCI System Research project (Project ID:hp150029).
HPCIシステム利用研究課題 利用報告書(課題番号 : hp150029)は、こちらをご参照ください。
HPCI Research Report Vol.3 (2018) 89-94
参考文献
- HPCI Research Report Vol.3 (2018) 89-94
解析内容の詳細