液膜蒸発乾燥シミュレーション
粒子法エンジンVSOP-PSを使い、液膜の蒸発乾燥中に起こる粒子の偏り(粒子偏析)を解析しました。大小2種類のフィラーを含む液膜を対象に、乾燥中の粒子の動きをシミュレーションしました。膜の厚さ方向の密度分布を算出し、小さな粒子が表面に集まりやすい傾向を再現できました。
解析・利用例のポイント
- 粒子法による蒸発乾燥中のフィラー密度分布解析
- 粒径が異なるフィラーを扱うことが可能
- 乾燥プロセスが粒子偏析に与える影響の解析
粒子法による蒸発乾燥中のフィラー密度分布解析
大小2種類のフィラーを含む液膜の蒸発乾燥モデルが示されています。粒子法(MPS)を用いて、蒸発過程における溶媒の減少とともにフィラーが膜表面に凝集する様子を再現しています。このモデルにより、乾燥中の粒子挙動を視覚的に把握することが可能です。

液膜蒸発乾燥モデル
粒径が異なるフィラーを扱うことが可能
蒸発乾燥終盤におけるフィラーの膜厚方向の密度分布が示されています。小フィラーは大フィラーに比べて膜表面付近に高密度で分布しており、粒子偏析の傾向が明確に現れています。これにより、乾燥後の膜構造における粒子配置の予測が可能です。

フィラー密度の膜厚方向分布
乾燥プロセスが粒子偏析に与える影響の解析
蒸発乾燥後の粒子構造を等値面で可視化した結果が示されています。粒子の分布状態や凝集の様子が3次元的に表現されており、乾燥条件や粒子特性が最終構造に与える影響を評価する上で有用な情報を提供しています。

蒸発乾燥後の粒子構造の可視化
参考文献
- 「ウェット塗布膜乾燥過程の評価技術」https://www.jstage.jst.go.jp/article/nig/56/2/56_85/_pdf
解析内容の詳細