FMO-DPDを用いた高分子電解質の相分離構造
FMO-DPD法を用いて、燃料電池用高分子電解質膜の構造予測を行いました。フラグメント分子軌道法(FMO)をベースとしたFCEWSにより成分間相互作用であるχパラメータを推定し、散逸粒子動力学(DPD)で水と高分子の相分離構造を解析。疎水性主鎖と親水基側鎖を持つ電解質が水中で形成するチャネル構造を再現し、実験と一致する傾向を示しました。
解析・利用例のポイント
- FCEWSを用いてχパラメータを予測し、燃料電池で用いる高分子電解質のメソスケール解析を実施
- 燃料電池の設計に有用な手法
FCEWSを用いてχパラメータを予測し、燃料電池で用いる高分子電解質のメソスケール解析を実施
高分子電解質をセグメントに分割し、セグメント間のχパラメータ(相互作用パラメータ)を、FMO(フラグメント分子軌道法)を用いることで高精度な予測が可能なFCEWSで推算します。水分子は4つで1つのDPD粒子としています。

高分子電解質のセグメント分割
燃料電池の設計に有用な手法
DPDを用いてシミュレーションした高分子電解質の相分離構造を示します。異なる高分子成分がメソスケールで分離し、ナノ相構造を形成している様子が可視化されています。これは燃料電池などの材料設計において重要な情報です。

DPDによる高分子電解質の相分離構造を示しています。相分離の程度やドメインサイズなどが解析されており、材料の機能性と構造の関係を明らかにするための指標となります。
参考文献
- RSC Adv., 8, pp34582-34595, (2018)
- https://www.cenav.org/fcews_ver1_rev2/
解析内容の詳細