mol-inferを用いたQSPR逆解析
J-OCTAのMI-Suiteでは物性から分子構造を予測する逆解析が可能です。京都大学・原口研究室が開発しているmol-inferを搭載しており、まず人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いて分子構造から物性を予測後、混合整数線形計画法(MILP)を用いて逆演算を実行します。これにより目標物性に合致する分子構造を推定可能で、構造異性体も得られます。
解析・利用例のポイント
- 物性値から分子構造を予測
- 化学グラフを用いた逆解析
- 分配係数を目標物性とした分子設計に応用
物性値から分子構造を予測
mol-inferを用いた逆解析のターゲット物性として設定された分配係数(logP = 10.0)のデータを示しています。まず、1297個の分子構造と物性値のデータを用いて、人工ニューラルネットワーク(ANN)により構造と物性の関係を学習させます。この学習済みモデルをもとに、逆方向の解析を行います。

mol-inferのターゲット物性(分配係数=10.0)
化学グラフを用いた逆解析
逆解析に用いる分子構造のシード(種)構造と、官能基に相当するツリー構造を示しています。混合整数線形計画法(MILP)を用いて、これらの構造要素を組み合わせることで、目標物性を満たす分子構造を探索します。

シード構造(左)とツリー構造(右)
分配係数を目標物性とした分子設計に応用
逆解析によって得られた分子構造の例を示しています。構造異性体も含まれており、得られた構造に対して再度順方向の物性推算を行った結果、分配係数は9.8と目標値に近く、逆解析の有効性が確認されました。

mol-inferで得られた分子構造
参考文献
- Int.J.Mol.Sci.,22,2847,(2021)
解析内容の詳細