水への溶解性評価
分子動力学(MD)エンジンGENESIS(理化学研究所を中心に開発)に搭載されている自由エネルギー摂動法(FEP)を用いて、メタノールやカフェインなど5種類の低分子の水への溶媒和自由エネルギーを計算しました。実験値と良好な一致を示し、溶解性の定量的評価が可能であることを確認しました。医薬品や化粧品をはじめとした分子設計に有用な手法です。
解析・利用例のポイント
- 自由エネルギー摂動法による溶媒和自由エネルギーの評価
- 高精度に評価が可能
自由エネルギー摂動法による溶媒和自由エネルギーの評価
FEP法による溶媒和自由エネルギーの評価手順を示しています。真空中と水中での溶質の“消去”過程を通じて、それぞれの自由エネルギーを計算し、その差から溶媒和自由エネルギーを求めます。

溶媒和自由エネルギーを評価する際の操作過程
高精度に評価が可能
5種類の溶質について計算された溶媒和自由エネルギーと、文献に基づく実験値との比較グラフです。計算値と実験値は良好に一致しており、手法の妥当性が確認されています。

各溶質の溶媒和自由エネルギーを計算値と実験値で比較
参考文献
- C. Kobayashi, J. Jung, Y. Matsunaga, T. Mori, T. Ando, K. Tamura, M. Kamiya, and Y. Sugita, J. Compute. Chem. 38, 2193-2206 (2017). https://doi.org/10.1002/jcc.24874
- J. Jung, T. Mori, C. Kobayashi, Y. Matsunaga, T. Yoda, M. Feig, and Y. Sugita, WIREs Comput. Mol. Sci., 5, 310-323 (2015). https://doi.org/10.1002/wcms.1220
- D. L. Mobley, J. P. Guthrie,J. Comput. Aided Mol. Des.28, 711-720 (2014). https://doi.org/10.1007/s10822-014-9747-x
解析内容の詳細