高分子膜の相分離プロセスシミュレーション
MUFFIN(Flory Higgins自由エネルギーに基づく平均場法エンジン)を用いて、非溶媒誘起相分離(NIPS)プロセスによる高分子膜の構造形成過程をシミュレーションしました。溶媒・非溶媒の拡散や相分離挙動を可視化し、多孔質の膜構造の制御に向けた設計指針を得ることが可能です。
解析・利用例のポイント
- 平均場法を用いてNIPS(非溶媒誘起相分離法)のプロセスを評価
- 実験的に観測が難しいナノスケールでの可視化が可能
平均場法を用いてNIPS(非溶媒誘起相分離法)のプロセスを評価
2次元モデルにおけるNIPSプロセスの時間発展を示しています。上半分に非溶媒、下半分にポリマー・溶媒・非溶媒の混合膜を配置し、時間とともに非溶媒が膜に浸透し、溶媒が拡散することで相分離が進行します。

NIPSプロセスを考慮した高分子膜内の相分離の時間発展(2次元モデル)
実験的に観測が難しいナノスケールでの可視化が可能
3次元モデルでの相分離シミュレーション結果です。ポリマーのガラス化を模擬するために、濃度依存の移動度を導入しており、膜表面に穴が形成されるなど、実材料に近い構造が再現されています。

各成分の運動の濃度依存性、ポリマー成分のガラス化を考慮したNIPSプロセスの時間発展(3次元モデル)
参考文献
- DPDによる溶媒蒸発シミュレーション
- スラリー塗工プロセス[トヨタ自動車株式会社様]
- https://octa.jp/jp/components/muffin/
- Soft Matter,13, 3013, (2017)
- J. Membrane Sci., 599, 117826, (2020)
- https://unit.aist.go.jp/cd-fmat/ja/c-dmd/ja/freport/contents/fr220118_3-07.pdf
- ACS Macro Lett., 9, 1617-1624, (2020)
- J. Membrane Sci., 619, 118779, (2021)
- J. Chem. Phys., 154, 104903, (2021)
- ACS Appl. Mater. Interfaces, (2023) https://doi.org/10.1021/acsami.3c03126
解析内容の詳細