医療画像は“見るだけ”ではない
CTやMRIで撮影された画像は、通常ビューア上で2次元の断面画像として閲覧されます。
しかし、実際には、これらの医療画像(DICOMデータ)は3次元情報をすでに持っていることをご存じでしょうか。
CTやMRIは、薄いスライス画像を連続的に撮影し、それを積み重ねることで人体内部を表現しています。つまり、もともと“立体データ”として取得されているのです。適切な処理を行えば、このデータから高精度な3Dモデルを作成することが可能です。
近年では、この3Dモデルが医療機器設計、3Dプリント、さらには数値解析(FEM)にまで活用されています。
なぜ医療画像の3Dモデル化が重要なのか
医療の高度化に伴い、解剖構造を「立体」として扱うニーズが高まっています。
たとえば、医療機器メーカーにおいては、
- デバイスの形状設計検討
- 患者解剖に基づく適合性評価
- 血流などの数値シミュレーション
- バーチャル環境での設計検証
といった用途があります。
これらは2次元画像のままでは実施できず、設計・解析に利用可能な高品質の3Dモデルが必要になります。
また、研究機関では解剖構造の形状解析やデータ解析基盤として利用されることもあります。
医療画像(DICOMデータ)から3Dモデルを作る基本的な流れ
まず、CTやMRIのDICOMデータを専用ソフトウェアに読み込みます。ここで重要なのは、単なるビューアではなく、セグメンテーションと3D再構築に対応したソフトを使用することです。
次に行うのが「セグメンテーション」と呼ばれる工程です。これは、画像の中から特定の組織や部位を抽出する作業です。例えば、骨のみ、血管のみ、腫瘍部のみを分離する必要があります。CT値や信号強度の違いを利用しながら、対象部位を精密に抽出します。
抽出された領域は、そのままでは画像データの集合に過ぎません。そこから表面データ(STL)やCAD連携可能な3D形状へ変換することで、初めて「使える3Dモデル」となります。
この段階まで到達すれば、デバイス設計検証、3Dプリントモデル作成、有限要素解析など、多様な用途に展開できます。
医療機関・医療機器メーカーでの活用
医療機関では、患者個別の解剖構造を立体的に把握できる点が注目されています。複雑な血管や骨形状を3Dモデルとして可視化することで、研究用途や教育用途に活用されるほか、解剖学的理解を深めるための資料作成に用いられるケースもあります。近年では、3Dプリントモデルを研究・教育目的で作成する事例も増えています。
一方、医療機器メーカーでは、患者解剖データを基にした設計検討や解析用途での活用が広がっています。例えば、デバイス形状の適合性評価や、血流などの数値シミュレーション用モデル作成など、工学的な検証プロセスに利用されています。実際の解剖構造を反映したデータを用いることで、より現実に近い設計検証が可能になります。
医療画像における一般的な3Dビューアの課題
「3D表示ができるソフトはあるのでは?」と思われるかもしれません。
実際に、医療画像を読み込んで3D表示できるフリーソフトや研究用途のオープンソースツールは数多く存在します。これらは教育・研究用途として非常に優れたツールであり、基本的な可視化やセグメンテーションを行うことが可能です。
しかし、可視化と「設計や解析に耐えうる3Dモデルの作成」では、求められる水準が異なります。
医療画像には特有の難しさがあります。例えば、CT画像にはノイズが含まれ、金属インプラントが存在する場合はアーチファクトが強く発生します。血管のような複雑形状は、単純な閾値処理では正確に抽出できません。
さらに重要なのが「ポリゴン・メッシュ品質」です。
多くのフリーソフトで生成されるSTLデータは、可視化には十分でも、
- 表面がギザギザで不連続
- 微小な穴や閉じた立体になっていない
- 要素品質が解析基準を満たさない
といった問題が生じやすく、そのままでは構造解析や流体解析に使用できないケースが少なくありません。つまり、「3Dで見えること」と「設計・解析に使えること」は本質的に異なります。
設計検証や医療機器開発に用いる場合、必要なのは単なるポリゴンモデルではなく、幾何学的に整合性が取れ、解析に耐える品質のメッシュデータです。そのためには、画像処理、形状補正、メッシュ最適化までを一貫して行える専門的な環境が不可欠になります。
医療画像の3Dモデリングに特化したSimpleware Software
弊社の提供する Simpleware Software は、CT・MRIなどのDICOM医療画像から高精度な3Dモデルを作成し、さらに解析用メッシュ生成まで一貫して行えるソフトウェアです。
一般的な3Dビューアが主に「可視化」を目的としているのに対し、Simpleware Software は設計・解析に活用することを前提とした医療画像3Dモデリングツールです。
医療画像特有のノイズやアーチファクトを低減しながら、骨・血管・軟部組織などを精度よく抽出できる高度なセグメンテーション機能を備えています。微細構造を保ちながら形状を整え、工学用途に耐える3D形状へと仕上げることが可能です。
さらに、生成したモデルは単なるSTLデータではなく、構造解析や流体解析に適した高品質メッシュへと変換できます。CT値を活用した物性値のマッピングなどにも対応しており、患者個別モデルを用いた解析や医療機器設計検証にも活用されています。
CAD/CAE環境との連携も考慮されているため、医療画像を「診断用データ」から「設計・解析に使える工学データ」へと発展させることができます。
医療DXが進む今、画像の3D活用は特別な技術ではなく、今後の標準的なプロセスになっていくことが予想されます。
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