MDによる粘度の評価
全原子分子動力学(Full-Atomistic MD)でLees-Edwards境界条件を用いることで、ずり流動(せん断流れ)を付与できます。ここではn-decaneおよびn-hexadecaneの粘度を評価しました。ずり速度を変化させながら粘度の変化を解析し、Green-Kubo法との比較も実施しました。
解析・利用例のポイント
- 分子動力学のLees-Edwards境界条件によるずり流動と粘度評価
- 粘度のずり速度依存性の評価
- Green-Kubo法を用いた粘度評価との比較
シミュレーション系の構築
J-OCTAのモデリング機能を用いてn-decaneとn-hexadecaneを配置し、Lees-Edwards境界条件下でずり流動のシミュレーションを実施しました。

ずり流動の様子
粘度評価結果の比較
せん断(ずり)速度に対して算出された粘度を両対数でプロットしました。ずり速度の低下と共に粘度が増加しますが、n-decane ではずり速度1e+10[1/s]以下では粘度が一定に近づいていく様子が見えます。文献[1]でのGreen-Kubo 法での粘度の評価では、同条件でのn-decane が0.178[E-3Pa・s]、n-hexadecaneが1.17[E-3Pa・s]となっており、近い傾向が得られています。

粘度の評価
参考文献
- S. T. Cui, P. T. CUMMINGS and H. D. COCHRAN, Molecular Physics, 1998, 93, 1, 117-121
解析内容の詳細